琴奨菊の進退
嬉しいニュースである。福岡県柳川市の金子健次市長の定例記者会見で、柳川出身の琴奨菊関からの電話で「今はけがの治療をしている。四股を踏めるようになれば再度相撲を取りたい」と、元大関に現役続投の意向があることを明かした。秋場所で左ふくらはぎを痛めて休場。再出場したが、2勝10敗3休。琴奨菊関は「十両に転落しても相撲は取ります」との決意。金子市長は「電話での印象は、けがを克服すれば11月場所は出場」との談話。
琴奨菊の今後については、引退を危惧する声がファンから出ていた。琴奨菊の場合は、年齢も36歳だっただけに、私も引退必至と見ていた。がぶり寄りが魅力で、今は封印してしまったが、仕切りの際の「琴バウアー」は満場の喝采を浴びた。何よりモンゴル力士全盛時代に、10年ぶりに日本人優勝を遂げてくれた。
大関の地位にあって、関脇以下へ陥落した元大関が現役を続行する場合、十両への陥落確定を機に引退することが慣例。そこまで落ちて現役にしがみつくのは、みっともないという見方が主流だった。豪栄道のように、大関在位中に引退するケースが大半だった。 昭和時代に大関陥落後に十両に陥落しても、現役を続行した力士は大受だけ。しかし力士の寿命も延びてきた昨今は、状況が変わってきた。平成時代以降、雅山・把瑠都(番付のみ)・照ノ富士の3人が大関陥落後に十両以下の地位に在位。
しかしスポーツ選手寿命も延びてきた昨今である。プロ野球では山本昌投手が50歳まで現役で、サッカーJリーグでは53歳の三浦知良選手が最高齢出場記録を塗り替える時代である。大相撲でも旭天鵬は41歳まで現役で、今でも華吹は50歳にして現役を続行して白星も挙げている。身体をボロボロにする格闘技、引退はいつか来る道。無理のない範囲で現役続行して欲しい。