体力と気力の「おしん」
NHK-BS3で毎朝再放送が続いていた、橋田寿賀子作「連続テレビ小説「おしん」。昨日の土曜日に全297話が終了した。合計4,415分=実に74時間強の1年間の長丁場である。連れ合いがずっと視聴していた。出演者は今は亡き役者ばかり。その中でおしんが引き取って育てた初子役に、ファンだった今は亡き田中好子さん(元キャンディーズ)が出演していたのをきっかけに、チラ見。そこからだんだん自分も、番組に引き込まれていった。
山形の寒村に生まれたおしんは、生活苦のために奉公に出される。奉公先で、嫁ぎ先で虐められて、さらに太平洋戦争で最愛の息子を喪うという辛酸を舐める。その後に伊勢で、魚と野菜の小売店「田倉(たのくら)商店」(ヤオハンやイオンがモデルとも言われる)を開設。順調に成長する。しかし事業を引き継いだ次男の仁が、拡大基調の経営方針に走る。おしんは反対するが、それを押し切った仁は経営破綻に陥る。困窮に陥っては、諦めずに再起するおしんの不屈の精神。それでいて苦労してきただけに、人情の機微を弁えている。
とにかく長い。それでいて無数のドラマがてんこ盛り。しかも、それぞれのドラマが深い。昨今の日本のテレビドラマは短い。だから情景を深くは描けない。この対極にあるのが、韓国ドラマ。「ホジュン」は全70回×1時間=70時間なので、ほぼ「おしん」と同じくらいの時間。作る方も、観る方も体力と精神力を要する。だからお互いに性根が座っている。NHK朝ドラの最高傑作と言われた所以。まさに成長する日本の底力であった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/おしん