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大相撲の付出制度

昨日の力士の出身大学の話の続きで「付出制度」について。大相撲の世界は原則として「序の口」デビューする。しかしアマチュア大会で実績を残した人は「付出制度」を利用して「序ノ口」「序二段」をすっ飛ばして「幕下」や「三段目」からデビューできる。その資格を得ることができる大会が以下の4つである。
①全日本相撲選手権
②学生相撲選手権
③実業団相撲選手権
④国体相撲競技(成年)
これらの大会のいずれかで優勝すれば幕下15枚目格の付出。全日本相撲選手権以外に、他の3大会の1つでも優勝すれば幕下10枚目格の付出となる。そして、この4大会のどれかでベスト8以上なら、三段目最下位格でデビューできる。権利の行使は資格取得後1年間となっている(現在はコロナ禍で2年間の特例)。2000年9月に制定された制度で、2015年に三段目最下位格デビューの制度が新設された。それ以前にも付出制度はあって、記憶の限りで最初は豊山(後の時津風理事長)、メジャーになったのは輪島や長浜が学士力士として幕下付出でデビューしていた。ただしこの頃は明確な基準がなく、アマチュア相撲で活躍した力士は幕下最下位格(60枚目)でデビューしていた。以前は学生力士が珍しかったからルールも適当でよかった。しかし今となっては学生相撲の方が多いくらいなので、基準も明確化が必要となった。
 幕下10枚目格デビューできる資格を持っていた力士は狭き門で、そのほとんどが幕内まで昇進している。現役では御嶽海と遠藤。幕下15枚目格は人数も多く、番付には大きな差が出ている。また大相撲の世界を選ばなかった学生もいる。あるいは大学卒業を優先するために1年間あった権利を放棄して、三段目最下位格や序の口でデビューした力士もいる。正代や北勝富士がその一例である。大相撲の世界においてアマチュア時代の実績通り出世した人もいれば、そうでない人もいる。当然その逆もある。学生時代に実績を残した人は出世できる可能性が高いが、出世が保証されているわけではなく、幕下15枚目格だと十両止まりも多い。もちろん学生時代に実績を残せなかったからと言って、それが大相撲入門後の将来が決まってしまうわけではない。入門してからどれだけの力量をつけるか次第だ。しかしケガが多い格闘技の世界、身体の消耗を防いで早く上位に上がることも無事これ名馬の一つの条件。

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