2024衆議院選挙の総括、果たして真の勝者は誰か?
衆議院選挙は自公の過半数割れの結果に終わった。結果の意義はともかく統計フェチにとっては、選挙は大いに分析のし甲斐がある対象である。その中で印刷業界の知恵袋であった小笠原氏の分析が興味深かった。この数字にシェア計算を加えて再分析してみた。以下は是々非々論ではなく、あくまで数字の分析。
選挙結果では全465議席のうち与党が215議席を確保した。これは全体の46.2%に当たる。しかし得票率から見れば(無所属票の扱いに課題があるが)、全体5,446万票のうち、自民党は27.0%+公明党は11.0%=38.0%でしかない。もしも全ての議席が投票に比例するならば、自公の議席は176議席でしかなかった。逆に言えば、選挙結果以上に、国民の審判は与党に厳しかったのだ。相対的には公明党、共産党の地盤沈下が目立つ。また参政党、自由党などの議席獲得は、極右の萌芽を感じさせる。
結論から言えば 自民党は裏金や統一協会問題などによる最大の危機を最小限の敗戦で切り抜けている。この原因は、明らかに小選挙区制における野党乱立。特に国民民主党の台頭が、立憲民主党の足を引っ張った。れいわ、参政党、保守党の議席確保も影響している。国会による与野党協議を唱えた石破茂首相を、森山裕幹事長が早期解散で押し切った。首相の変節に反発した有権者もいただろうが、結果的に野党は候補者の一本化をする時間がなかった。それに対して与党はもともと自公で候補者を一本化していたので即応できた。早期選挙に対する反発と、候補者一本化防止の効果とどちらが大きかったのかはわからない。しかし後者が選挙結果を左右したことは間違いない。自民党内では敗戦の責任を森山裕幹事長に問う声が大きくなっているが、むしろ数多くの議員が落選から救われたはずだ。特に旧安倍派の議員からは恨み節が聞かされるが、もとはと言えば敗因を作ったのは自分たちである。対岸から見ていると『「誰のおかげで助かってのだ」と、ガツンと言ってやればいいのに』と思うが、石破茂首相も森山裕幹事長も党内力学上でそうもいかないのであろうか。世の中不合理である。 いずれにしても日本の政界の最大の弱点は、二大政党制が確立していないこと。そして野党側に連立政権の合意が為されていないこと。そこが欧米と違って、与党にチェック機能が働かない大きな要因である。結果的に11月11日の首班指名で、自公政権を継続させてしまった。日本維新の会も、国民民主党も、ケース別に是々非々とか言っている。このように木を見て森を見ない態度は、自身や党利を優位に立たせようとする魂胆にしか見えない。両党を支持した人々は、首相の決戦投票における無効票の投票なぞ望んではいなかったのではないだろうか。日本の弱点とは、個別課題ではなく、一党独裁=政権交代がない構造である。今こそ野党勢力を1つにまとめる英傑が出現して欲しいものだ(かつての小沢一郎氏のように)。二大政党制が実現すれば、野党だけでなく、自民党すらも生き返るであろう。