新矢歩世「教えてブラジャー先生」、全巻通読

新矢歩世「教えてブラジャー先生」2️⃣3️⃣(秋田書店)。これにて完結。
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　最初に断っておくと、この作品はエロ漫画ではなく、教育熱血漫画である。中学3年生の4月で担任が5人交代するという問題クラスの新担任になったのは、上半身ブラジャー一丁の舞裸慈屋一千代(ぶらじやいちよ)。続々登場する破天荒な問題生徒を、ブラジャー先生が破天荒に教育する。
1️⃣ 新任教師を快く思ってない嵐多純平♂は、教室内で破壊行為を繰り返す。これまで嵐多から嫌がらせを受けていた仙台まゆそ♀は、感情が高ぶり、嵐多を窓から突き落とそうとする。
2️⃣ブラジャー先生にクラス委員長をクビにされた未弐井アマル♂が、ブラジャー先生の命令で草むしりをさせられる。
3️⃣ 特別高等生徒会、通称・特高生徒会に「全員退学」と狙われたブラジャー先生のクラス。
　1️⃣は興味本位で読んでいたが、読み返してみたら、改めて面白かったので2️⃣3️⃣を読んだ。いつも上半身はブラジャー１枚の教師。荒唐無稽であり得ない設定だが、奇を衒っているのはそこだけ。暴力的かつ無気力な落ちこぼれクラスを、相手の度肝を抜くような接し方で捌いてゆく。暴れる生徒を4階から突き落としたり、壊した机を中庭に放り込んだり、水泳の授業にビキニで出たり。今の教師は体罰禁止、お叱言はハラスメント。ガッチリ管理され、親に詰られ、生徒には鼻であしらわれ。『あゝ、こういうことやれば、現役教師はスッキリするだろうな』と思う。目には眼を、歯には歯を。それでいて心のアフターケアまで、きっちり視野に入れている。クラスのチームワークも、はぐれ者の恋仲マッチングまでバッチリだ。新任教師の知略と蛮行は、読んで心を鷲掴みにされる。ゲテ物のようでいて、意外に快作。