大相撲どすこい研「小兵」
7/3のNHK-BS1「大相撲どすこい研」では「小兵(こひょう)」がテーマに取り上げられた。この番組はいつもありとあらゆる大相撲の数字データを多角的に解析しているのが楽しい番組だ。プロ野球の統計をテーマとしている、同じくNHK-BS1「球辞苑」の相撲版である。世の中情実ではなく数字が全てを物語る。
https://www.nhk.jp/p/dosuken/ts/G9W71XY6L3/
この日は現役小兵代表として石浦、照強、炎鵬が座談会。そして伝説の小兵として舞の海にもインタビュー。それぞれが個性を表した発言であった。照強が強気、石浦は真面目、炎鵬はいじられ役。そして肝心の統計では、先ずは好きな古今の小兵力士。第一位はもちろん炎鵬。意外や後にプロレスラーとなった維新力が第10位に入っていたのがビックリ。個人的にはピラニアと称された、大関となった旭国がランクインしていなかったのが残念。どうしても現役力士が有利になるので、現役版と引退版を分けて欲しかった。続いて小兵力士との体格差による勝率。潜る相撲が持ち味の小兵力士にとって、やはり背が高くて軽い力士に有利との結論。大型力士より、むしろ中型力士の方が取り辛い。そして小兵力士の決まり技。100勝に要する決め技が平均値で21種類なのに対して、小兵力士は30種類と驚異的に多彩。最も多い決め技は意外にも押し出し、寄り切りとノーマルな技。ただ送り出しが多いのは、やはり動いて横に食いつく小兵力士の特徴と思われる。何日目の勝率が高いかという分析では、前半というゲストの予想を覆して圧倒的に千秋楽。やはり小兵力士の執念と勝負強さが精神力に表れているのだろうか。
最後に思い出に残る小兵力士と一番ということで、里山(佐の山親方)が登場。幕内では遂に勝ち越せず、引退前の最後の一番は琴の若(当時は琴鎌谷)だった。土俵際で投げの打ち合いとなったが、上手投げの琴鎌谷に対して下手投げの里山。通常なら上から身体をかぶせる上手投げが有利。しかし琴鎌谷の脚を払ったり、土俵につきそうな腕を堪えて持ち上げ、顔から突っ込んでゆく相撲で有終の美を飾った。里山の相撲人生の集大成とも言うべき取り口で、多くの人々の感動を呼んだ。もちろん私も観て涙した一人だった。「小が大を制す」無差別級が大相撲の面白さ。この名古屋場所でも小兵力士の活躍は楽しみだ。