増田悦佐「トランプ後の世界を本当に動かす人々」
増田悦佐「トランプ後の世界を本当に動かす人々」(徳間書店)。
https://www.amazon.co.jp/dp/B08TR9RHPB/
著者はニューヨーク州立大学助教授を経て、HSBC証券やJPモルガンなど外資系企業でアナリストを務めた後、著述業に専念する経済アナリスト。第1章では、第二次世界大戦直後に有力産業団体・巨大企業と政治家との間の腐敗を説き起こす。第2章では、トランプが、軍需利権を支える永続戦争と対中宥和政策という、民主党リベラル派と共和党保守本流と闘う孤独な大統領だったことを示す。第3章では、アメリカの経済格差がさらに深刻化して、貧富間に深刻な路線対立が生じていることを指摘。第4章では、2000~2002年にアメリカの株式市場が派手に崩壊したとき以上に、現在のアメリカ株市場が「ハイテク」銘柄に人気が集中していることの意味を考える。第5章では、なぜ新型コロナ対策としてロックダウンに効果がなく、弊害は大きいのに、世界各国の政治家たちが競合うのかを解明する。最終の第6章では「地球温暖化を阻止するための二酸化炭素排出量ゼロ化」もまた、我々から見れば巨額の設備投資資金の浪費になることを明らかにする。
本書の冒頭の見出しが「史上最低な大統領を選んだアメリカとどう付き合うか」という強烈なフレーズ。ややトランプ寄りの本と言える。アメリカ国民にとって、大統領選挙は消去法だったと思う。トランプは極端な大統領だった。特に外交政策や環境保護に対しては、経済人としての立場だけをを貫いた。一方で、はっきり物が言えて。ふつうなら躊躇しそうな政策も断行できるパワーがあった。その反面、バイデン氏は気の弱そうなお爺さんという印象だった。だから対中国外交が弱気に転じてしまう懸念も持った。バイデン大統領は、WHOの加入、パリ協定の締結など、しばらくはトランプのやったことの正反対をやってゆくのだろう。着任1週間で、42もの大統領令を発したと聞いて、なかなかエネルギッシュと感心。トランプが直ぐにホワイトハウスを出ていかなかったので、たっぷり準備期間があったのかもしれないが😅。要はバイデン新大統領、意外によくやっていると言いたかった。