横綱・鶴竜の日本国籍帰化
大相撲の横綱鶴竜(35)=マンガラジャラブ・アナンダ、モンゴル出身、陸奥部屋=が日本国籍を取得した。12月10日付の官報に告示された「日本人に帰化する許可の件」(法務225)。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bb7e8133206c2c3eec2487bcb0d0e957c2a60857
外国出身力士が引退後、親方として日本相撲協会に残るためには日本国籍が必要だった。1月場所に進退がかかっている鶴竜にとって、帰化の許可が下りたことでホッとしたことだろう。何しろ日本相撲協会は、引退時点で日本国籍を有していないのなら、年寄名跡を襲名できなくなってしまうからである。つまり無職となってしまう。聞くところによると、帰化の手続きには1年弱を要するという建前だが、実際には5年を要することもあると聞くと。鶴竜は2年前から帰化申請を出していたそうだったが、許可が降りるのを待つ間に、連続休場で横綱審議委員会から引退勧告の一歩手前に当たる「注意」を喚起されていた。聞くところに拠ると、日本人と結婚していれば許諾が下りるのが早いとか。白鵬は日本人と結婚したが、鶴竜はモンゴル人と結婚したので、このあたりも許諾の下りた時期に差がついた要因だったのかもしれない。ともあれ温厚篤実な人柄で、現在も力士会会長を務める、人望豊かな横綱が協会に残れることになったことは、まことに喜ばしい。
そもそも横綱審議委員会に、イチャモンを付けると、ケガで連続休場を続けた横綱を過保護にしたのは、武蔵丸との千秋楽決戦で手負いとなった貴乃花が発端。続いて同じく照ノ富士との千秋楽決戦でケガを悪化させた稀勢の里。この二人を散々甘やかせておいて、モンゴル人横綱には厳しい態度。脳科学者である茂木健一郎氏は「これは外国人差別・偏見ととられかねない」と述べている。高見山以来多くの外国人力士の活躍で人気を盛り上げてきた日本相撲協会は、そろそろ外国籍の方に、年寄門戸を開いてもいいのではないか。帰化して年寄となっている外国出身親方は、現状では僅か6人だけ。その閉鎖性が、鶴竜のように引退しようにもできない横綱を生むのである。そして外国人の入国に厳しい日本国政府にも、鎖国的視野の入国管理をよりグローバルな視点に改めて頂きたいものである。既にコロナ禍の入国制限で、外国人労働力を失って困窮する産業界を見れば、日本が鎖国方式でやっていけないことは自明の理である。
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