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宮島未奈「成瀬は信じた道をいく」

宮島未奈「成瀬は信じた道をいく」(新潮社)。ご存知2024年本屋大賞を受賞した「成瀬は天下を取りにいく」の続編。電子書籍版はこちら↓
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 京都大学に見事に合格した成瀬は「びわ湖大津観光大使」に就任。それは琵琶湖や大津市をアピールしたいという成瀬の心意気だ。常にわが道をゆく成瀬を慕う人が次々と登場。「びわ湖大津観光大使」の相方である美貌の篠原かれんや、成瀬と島崎が結成したゼゼカラを研究テーマとしている小学生・北川みらいちゃん。地元スーパーのクレーマーだった呉間夫妻。いつも娘のことを心配ばかりしている父・成瀬慶彦。そして成瀬信奉者の増加に焦って嫉妬する、ゼゼカラの相棒・島崎みゆき。あちこちで話題を攫う成瀬は、年末に周囲がパニックになって奔走する事件が勃発。
 相変わらず読んでいて、あちこちで吹き出してしまう成瀬の行動。人を呼び捨てにする前時代的な男まさりも魅力的だし、本人はいたって真面目かつ無表情なところに、飾らない誠実さと天然ぶりに好感が持てる。何より結果的に、周りの人々がハッピーになってしまうことに癒される。たわいもない話しと言えばそれまでだが、人の日常ってたわいもないことの積み重ねだろう。だからそこに嘘や悪意がない方がいい。「人は何になりたいかよりも、何を成したいかの方が大事」というのは前作の成瀬のことばだが、続編に於いても成瀬のそういうところは全く変わっていない。敢えて言えば、前作で恋バナすれすれだった西浦航一郎くんの再登場がなかったのが残念。

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