「第29回相撲甚句全国大会」を観覧、呼び出しの作り上げた日本の文化資産
阿武松部屋の大相撲初場所千秋楽打ち上げパーティーで、楽しい趣向があった。それは阿武咲関の故郷である青森県中泊町の方々による「相撲甚句」のパフォーマンス。相撲甚句とは、大相撲の巡業などで披露される七五調の囃子歌である。力士の昇進や引退、巡業地の名所案内などをテーマにする。そもそもは力士に歌ってもらうために作られた。枕唄➡︎本唄➡︎はやし唄の順で進行する。そこに「どすこい隊」が合いの手を入れる。メインと合いの手がパート化されているのも楽しい。合いの手は聴衆も参加できる。相撲甚句は節回しもいいし、唄われている台詞も味がある。楽器は一切なく、口伝で継承されている。相撲の裏方である呼び出しが生んだ、まさに日本の文化遺産である。
これですっかり興味を唆られて、スカイツリーのお膝元「曳舟文化センター」で開催されていた「第29回相撲甚句全国大会」にも行ってみた。主催は「一般社団法人日本相撲甚句会」という団体である。北海道から九州まで全国34の甚句会が参加している。元々は元三役格呼び出し永男が作詞を始め、日本相撲協会を退職した1995年に「日本相撲甚句会」を設立。出演者は年配者がほとんどだが、いずれも腹の底から出る朗々たる相撲甚句が素晴らしい会だった。出演者たちはいずれも民謡や浪曲を習得しているくらいのハイレベルな歌唱力を備えている。週に2〜3回の練習を積んでいるそうだ。中でも8人いる師範の歌唱は神レベルの別格だった。いつか仕事をリタイアして暇になったら、習ってみたいものだ。地域の繋がりや基礎の取得など、かなり仕切りは高そうだが。
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