高橋洋一「嘘と感情論で封殺された5つの日本の真実」
高橋洋一「嘘と感情論で封殺された5つの日本の真実」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
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著者は、大蔵省理財局資金企画室長を経て、首相官邸の内閣参事官などを歴任し、小泉・安倍・菅内閣でもブレーンとして活躍していた。しかしABC(朝日放送)「正義のミカタ」で、日本のコロナ禍を「さざ波」と発言し、その後の「屁みたいなもの」「笑笑」などのtwitter発言が炎上して、内閣官房参与を辞任した。本書は内容ではなく、表現のみをあげつらうマスコミへの反論としての著作である。コロナ対策など昨今の政治諸問題について、マスコミからの論評を聞くことが、われわれは常態化している。しかし政府側の発言は、いつも弁明に終始していて、その論拠を聞くことは少ない。そういう意味で叩かれる側の正論を聞ける貴重な本である。コロナ対策については感染拡大防止派と経済優先派で意見が分かれるところだが、本書はどちらかと言えば後者。数字や統計を多用しての説明なので説得力がある。
本書は以下の5章から構成されている。①日本は本当にコロナ封じ込め 「失敗国」なのか?② マスコミによって覆い隠された真実③ バイデン政権で変わる日本の役割④非民主国家の牙を剥き出す中国⑤コロナ後の日本経済、 蠢き出す財務省には警戒せよ。①は諸外国と日本のコロナ状況を数字で比較する。日本は感染者数、死亡者とも少ない。そして経済が受けた打撃も財政支援の甲斐あって少ない。②①の状況を「さざ波」「屁のようなものだ」と評して炎上。しかし著者は内容批判ではなく、表現の魔女狩りと反駁。筆者も表現に多少の問題があったことは認めながらも、自分の言ったことについて間違いはなかったと主張。③④ではバイデン大統領登場後の国際関係の変化を、対中関係の対立を中心に、対露、対韓などの新しい関係と必要な施策を説明。⑤では日本経済が健全な状態にあるとの見方から、GO TO政策の正しさや消費税増税への反対を説く。