近所の理髪店で店主と「床屋談義」、憂うべき床屋の激減💈
近所の理髪店💈で店主と「床屋談義」。このところ何時行っても満員で、待ち人あり。『以前はこんなことなかったのになあ』と当惑。この地区に引っ越してきて25年。ずっと暇そうだった。その頃は「よく来た❗️」という感じだったが、今は大忙しで「電話しようか?」📞という状況。なぜこのような事態になったかについて話し込む。この理髪店店主は荒川区の理髪店組合〜東京都理容生活衛生同業組合の支部長を務めてきた。ここ10年の理髪店の様変わりは甚だしいものがあるそうだ。着任当時は56軒だった組合員は、今や26軒。まさに半減したのである。私の住んでいるエリアでも3軒あった床屋は、2軒が廃業して、残るはここだけになってしまった。昔は御茶ノ水にも人を大勢使った床屋があったが、今はもうない。全国で見ると1985年の 144,939 店をピークに減少が続き、2022年には112,468軒にまで減少している(逆に美容院数は1978年に146,746軒だったのが、2022年には269,889軒と大幅増加)。
なぜこんなに減ってしまったのか? それはやはり儲からないからだと。多くの理髪店は夫婦だけで運営されている。高齢化と後継者不足が顕著で、2024年の「理容業の振興指針(令和6年厚労省)」によれば、経営者の年齢については、60歳から69歳の者の割合が31.1%、70歳以上が32.2%。経営者の高齢化が進んでいることが指摘され、若年労働力が求められている。この現象は人を雇う余裕がないことから起こっている。若い人を多く使っているお店もある。しかしどこのお店も生活できないような低賃金。店員さんは「修行」として、技術見習いで4〜5年を過ごすとのこと。そこから先は店を持てるか自分次第。また設備投資費用や資金繰りもあって、電子マネーやクレジットカードを導入しているお店もほとんどない。厚労省の指針に拠れば、時間当たり6,000円の売上が、適正人件費の支払いには必要だそうだ。「駅ナカなどに安い床屋があるが」との問いには「あれも時間売り。カットだけなら10分で1,000円。6,000円÷6の理屈。うちなら顔や髭剃ったりして1時間かけるけれど4,000円。値上げしたいところだが、なかなかそうもいかない」とのこと。事実この日は白髪染めもあったが、実に1時間半かかった。
世の中は、エッセンシャルワーカーが冷遇されている気がする。インターネットを否定するわけではないが、ITや仮想通貨などでボロ儲けしたり、管理職や事務職の方が待遇が良い場面も多い。本当は身体を張っている人々こそ高待遇であって然るべき。運送会社、介護職、工場勤務、建設現場、そして理髪店も厚労省認可の免許が必要な現場仕事である。床屋曰く「食うには困らない。だけどそれ以上でも、以下でもない」。出版業界ではリアル本屋がドンドン閉まっていて、社会問題化している。ただ本の場合はAmazonや電子書籍が、読書需要を代替している。しかし散髪はどうだろう? 通販やインターネットでは代替できないサービスである。この先、人類は家庭で自ら髪を切ることになるのかもしれない。