いつの日か岩井俊二監督の3.11
昨日3.11には、震災10年ということで、数々の震災復興番組が流された。大川小学校の映像を観ては、FANKY MONKY BABYSの復活ライブ「あと一つ」を聴いては、楽天イーグルスの田中将大の日本一リリーフ映像を前に慟哭。あの日は、麻布十番のお店にホワイトデーの買い物に行っていた。お店からの帰りに地下鉄車両に閉じ込められた。地下鉄から解放されて外に出たら、みんな大騒ぎだった。職場にも、家族にも携帯が通じず、広尾から恵比寿まで歩いて職場まで戻った。職場に戻ったら「社長無事でしたか」と社員たちに言われて、ようやく何が起こったか知った。電車が止まってしまったので、部下たちを引き連れて居酒屋へ。そこで見たものは、お店に置かれたテレビからの衝撃的な津波の映像だった。部下の帰宅や避難を見届けないわけにもいかないので、その晩は職場に泊まりだった。誰しも忘れないあの日。二度と起こって欲しくない出来事である。
もう一つ思いがけない映像として、YEN TOWN BANDが、旧荻浜小学校の屋上で夕陽を背に「Swallowtail Butterfly あいのうた」を歌っていたシーン。久しぶりに見たCHARAの姿。まさに東日本大震災への鎮魂歌にふさわしい。映画「スワロウテイル」(1996年)は生涯で最も好きな映画だ。岩井俊二監督の映画はずっと好きで、そのほとんどの作品を観ている。その中でも特に「スワロウテイル」は大好きで、何度も何度も観ている。岩井俊二監督作品は、繊細にして退廃的な印象の作品が多い。彼にしては珍しく野生的でワイルドな作品だった。そして「ピクニック」に続く、世紀末感も魅力だった。また小林武史の音楽もいい。それをCHARAが艶っぽく、ダルに唄う。岩井俊二監督は「いつか3.11をテーマに作品を撮りたい」。震災後10年で、それは未だ果たされていないが、いつの日かその日が来るのを待ち望みたい。震災後10年以降が風化しないためにも。