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モダンURデルバー調整録

魂のデッキ、フルFoilモダンURデルバーを最近真面目に調整したので、テンプレリストとの違いやその意図、細かいプレイテクニックなどについてまとめてみる。

デッキ調整内容

デッキリスト

雨林、稲妻、対抗呪文あたりのイラストが特に好き

メインボード
土地 18
沸騰する小湖 4
霧深い雨林 4
蒸気孔 3
尖塔断の運河 3
島 4

クリーチャー 13
デルバー 2
ドラゴンの怒りの媒介者 4
ラガバン 3
帳簿裂き 2
濁浪の執政 2

呪文 29
ミシュラのガラクタ 4
血清の幻視 4
考慮 2
呪文貫き 2
呪文嵌め 2
稲妻 4
邪悪な熱気 3
表現の反復 4
対抗呪文 4

サイドボード
外科的摘出 2
仕組まれた爆薬 2
払拭 1
否認 1
激しい叱責 1
未認可霊柩車 2
削剥 1
神秘の論争 2
血染めの月 2
厚かましい借り手 1

デッキコンセプト

クリーチャーを展開し、除去とカウンターで相手の行動を妨害しながら確実に相手のライフを削りきる、典型的なクロックパーミッションだ。モダンホライゾン 2の登場によりデルバーをモダンで見なくなって久しい元からいなかったのは内緒が、一般的なURに比べて軽く、アドバンテージが取りにくい代わりにライフを削る速度が早い構成になっている。そのぶんミラーは不利になりやすいが、安定性の高さを重視してこの構成としている。
そもそも、クロックパーミッションというアーキタイプは、相手取ると「なんでも持ってる」、「何をしても対応される」と感じがちだが、テンポを押し付けていく戦略上、土地、クリーチャー、妨害をバランスよく引き込まねば真価を発揮できないため、ドロー操作を駆使してハンドの質を高い水準に保つことが非常に重要だ。また、妨害のしにくい土地コンボやカードパワーで遅れをとるコントロールのような不利マッチで、ゲームを引き伸ばされる前にライフを削り切るアグロプランが取れるかも、さまざまなデッキが活躍するモダン環境では大切な要素だと考えている。後述するが、これら安定性と押し付け力を高めたいという思想が、1マナクリーチャーとキャントリップの増量、土地の減量といった調整につながっている。レガシーのURに近い調整と言えるかもしれない。

一般的なリストとの違い

典型的なURのリストとの違いを列挙し、その後で調整理由を細かく説明する。

  1. クリーチャーの構成
    ラガバンが4枚 → 3枚、デルバーの追加

  2. 血清の幻視採用、ドロー操作3種10枚

  3. 土地の構成
    19-20枚 → 18枚、フェッチ多め

  4. 呪文嵌め2枚

はじめに、テンプレのリストでも対コンボを重く見た軽めの構成と、対ミラーやミッドレンジを重く見た重めの構成とがあり、上のリストは前者に近いものではあるが、それでも1-3の特徴はわたしのリストに特有のものだと思う。
とにかく手数を増やし、デッキの安定性を高めて、早いターンからライフを詰めていくという思想が根底にある。

1. のクリーチャー構成が最も重要な点だ。デルバーを追加することで1マナクリーチャー、飛行クリーチャーの割合を増やし、キープ率を高めている。後述するが、このデッキの基本的なキープ基準は1ターン目にクリーチャーを出せることだ。ラガバン4チャネラー4の8枚ではやや心許ないため9枚に増やしている。本当は10枚にしたいところだが、全体的なデッキパワーを優先して9に留めている。
また、ラガバンが3枚なことに疑問を持つ人もいるだろう。Foilが高いという理由がないとは言わないが。意外かもしれないが、このカードは使ってみると色々と欠点が多いため、サイドチェンジしやすさも込みで1枚減らしている。

URデルバーからデルバーが消えた理由

端的に言えば、上振れは強いが不安定で、腐る場面も多いのが欠点だ。具体的には、飛んでない、パワーが2、伝説、あたりだろうか。
基本的に、このデッキは軽いカードで一対一交換をし続けて、テンポをとっている間にライフを削りきって勝つデッキだ。そのために何よりも重要なのは継続してライフを削り続けるクロックを用意することであり、その観点からいえば、伝説のために2枚目以降が腐りがちで、相手側で地上クリーチャーが定着した瞬間に不要牌となるラガバンは、ゲームの中で有効に働く場面が少ない。もちろん地上クリーチャーを除去でどかして攻撃を通すことも多々あるが、理想を言えば飛行クロックで相手の地上クリーチャーを無視し、プレイヤーに稲妻を打つ方がゲームプランに沿っている。特に終盤詰めの段階に入っているときは、疾駆があるとはいえ地上は止まっていることが多く、概ね謀議誘発や謀議での入れ替え用にしかならない。ライフを削る速度が他のクロックに比べて遅いのも悩ましい。追放によってアドが取れそうな気もするが、基本はミラー以外で相手のトップを使うことはほぼない。死ぬほど除去が飛んでくるので2枚目くらいまでなら役に立つが、ゲーム中で3枚は引きたくない。
上記のように不安定な要素が多いのだが、それでも3枚採用しているのは、序盤に定着したときのリターンが非常に大きいからだ。序盤の宝物が本当に強い。クロックパーミッションは土地を置き、クリーチャーを展開し、手札を整え、妨害を構える、という4種の行動を同時進行でやるデッキのため、序盤はマナが足りなくてアクション数を稼げず隙を作りがちなところ、宝物の供給によって盤石なゲーム進行が可能となる。例えば、先手2T目に宝物が出て3マナあれば、チャネラーを展開し、血清の幻視を唱え、稲妻か呪文貫きを構えるといった攻守隙のない展開が可能となる。この爆発力を考えると、流石にデルバーよりは強いので3枚としている。
軽量クリーチャーの構成はほぼ変わらないと思うが、重量級クリーチャーの2種、帳簿裂きと執政(何を言っているんだと思われるかもしれないが、このデッキのメインボードにおけるマナカーブの頂点は2マナだ)の枚数は要調整の枠だ。今はサイド後の墓地対策を乗り越えられる点を重視して帳簿裂きを2枚取っているが、メインの動きを重視するなら、1枚で勝てる執政を増やした方が強い。また、どこかの枠を削って2マナクリーチャーを5枚にするのも選択肢だと思う。

2. のドロー操作について。再三言っている安定性を高めるという狙いもあるが、特に、《ドラゴンの怒りの媒介者》を強く使うことを重視している。

個人的な体感でラガバンの倍くらい強いクリーチャー

血清の幻視は初期のリストでは見かけたものの考慮に取って代わられていったが、チャネラーとの相性で言えば圧倒的に幻視の方が強いと思っている。
チャネラーがいる際に撃つ幻視は、諜報1→ドロー→占術2であり、デッキを最大4枚掘り進めつつ、不要牌を最大3枚弾くことができる。一方で、考慮の場合は諜報1→諜報1→ドローで、最大3枚掘り進め、最大2枚弾く。数字で見ても少ないが、諜報1を2回やるというのも占術2に比べて弱くて、トップがそれなりに強かった場合にそれ以上を求めて墓地へ落とすかそのまま取るかの判断が難しく、昂揚達成のために墓地へ送ることが多いが、裏目になりやすい。結果としてだいたい思考掃きになりがちで、ドローを操作する力が低い。
また、幻視はソーサリーであることも重要だ。一般的なリストでは表現の反復4枚がソーサリーの枠だが、反復はデッキの中で唯一のアドソースであり、可能な限り諜報で落とさず手札へ引きたい。一方で、能動的に撃つにしても3T目からであり、ソーサリータイミング2マナ+追放したカードのキャストで隙を作る動きのため、早いターンの昂揚に貢献できない。土地、ファクト、ソーサリー、インスタントが昂揚の基本セットのため、チャネラーを早くから3/3飛行にするために、血清の幻視を4枚入れている。このおかげで、体感では7-8割くらいの確率で初手キープしたチャネラーが2T目に昂揚達成して殴っていける。地上で止まらない、レン六で焼かれないことも込みでキルターンが大幅に変わるため、幻視採用のメリットは大きいと考えている。
とはいえ、手札に2枚3枚と溜まると打ち消しを構えられずにもたつくデメリットもあるので、幻視と考慮を3枚ずつの調整もアリだと思っている。ただ、プレイングの項目で後述するが2T目くらいまでは展開とドロー操作を優先してあまり構えないし、1マナカウンターも多めに取っているため、重ね引かない限りは気にならないことが多い。

3. の土地構成について。軽い構成にしているため枚数を減らしつつ、デルバーやガラクタと合わせてドロー操作ができ、昂揚達成に貢献するあとイラストアドが高いフェッチを1枚多くする代わりに、マナフラ受けである焦熱島嶼域と大田原を不採用としている。また、サイド後の月を加味して島4枚にしているが、尖塔断の運河4枚目でもよい。Foil4枚目を持っていないという事情もある。
このデッキでは5枚目以降の土地は概ね不要で、2、3枚土地を置いたら増量しているドロー操作で弾き続けるので、マナフラ受けは考慮しなくていいかなというのが個人的な感想だ。焦熱島嶼域はFoil高いけど採用も視野かなと思うが、大田原は4マナ使ってまでバウンスしたいと思ったことがなく、月で山にならない島の方が強いと思っている。

4. の呪文嵌めについて。非常に地味だが、特にサイド後のハンマータイムを制するのに重要なカードなこと、環境にレン六が多いのをみてメインに2枚採用している。

昔はタルモを消すための枠だった昭和カード(?)

そもそもカウンターというのは、あらゆる脅威に対処できる汎用性の高さと裏腹に、構え続けることによってマナ効率を損なうリスクを抱えた行動であり、展開と同時に構えられるのが理想なため、軽く範囲が広いことが大切だ。例えば、1マナの除去に対抗呪文を撃つのはあまり強い行動とは言えないし、2マナの脅威に撃つのもトントンくらいだ。(もちろん状況によるが)その意味で、1マナで2マナを消せる呪文嵌めは理に適っている。
また、2T目くらいまでは展開優先で対抗呪文を構えられないことが多いので1マナカウンターも3、4枚くらいは欲しいのだが、呪文貫き3枚は中盤から終盤にかけて腐ることが多かったので1枚を呪文嵌めにしている。そして、もともとサイドに置いてあった1枚を考慮と入れ替えでメイン昇格させた。
呪文嵌めのターゲットは主に『除去で対処しづらいパーマネント』だ。具体的には、レンと六番、石鍛冶、ヴェクの聖別者、巧妙な鍛冶、安らかなる眠り、未認可霊柩車、帳簿裂き、コアトルあたりで、一応他の対象として、頑強、対抗呪文、表現の反復あたりに当たるのも偉い。後者は呪文貫きが当たる場合も多いが、ケアして2マナ立てられている場面で呪文嵌めでないと間に合わないことも多い。特にサイド後の後手はクリティカルな2マナ域が飛んでくる頻度が高く、またゲームが長期化して呪文貫きが腐りがちなため、有効に働く場面が多い。
とはいえ、当然2マナにしか当たらないことが裏目になることも多く、サイドアウトされやすいカードではある。特に2枚目は環境に合わせて調整する枠だろう。

サイドボード

環境によって変わるところなのであまり詳しくは触れない。
独自のサイドボードは、外科的摘出2枚、払拭と否認の計4枚で、他は概ね変わることはないと思う。摘出は続唱スペルや独創力の踏み倒し先を抜いて詰ませる動きができ、夏の帳に当たらずマナも使わない、環境に少ないため警戒されづらい、という理由から採用したが、相手のプレイによっては裏目もある(踏み倒し先をディスカードしてくれないなど)ため怪しい。払拭と否認はコンボとミラーを重く見た除去との入れ替え枠だが、よりよい選択肢もあると思う。狼狽の嵐や虚空の杯が高いからというのもある。
できれば発展の対価や狂乱の呪詛に相当するカードを取ってライフを詰めるプランへ寄せられるようにしたいところだが、モダンのカードプールではあまりピンとくるカードがない。乱動する渦は試したが弱かった。また、ミッドレンジへの変形を見据えて、3マナナーセット、歴戦の紅蓮術士、大魔道士の魔除けなどを取っていた時期もあったが、メインが軽く痩せた構成のため、中途半端な感じが否めなかった。ドローしてもデッキに入っているのは稲妻などインパクトの低いカードしかないため、単体で勝てるレベルのカードでないと3マナ域の採用は難しい。

プレイテクニック

ゲームプラン・基本的な動き

このデッキの勝ち筋は、軽量クリーチャーをカウンターと除去でバックアップしてライフを削り切ることである。逆に負けパターンとしては、クリーチャーを除去されてロングゲームに持ち込まれ、カードパワーの差でアドバンテージ差をつけられたり、展開の隙をついてコンボを通されることである。基本的なゲームプランは、クロックを維持し続け、クリーチャーで殴る回数を稼ぐことだ。マジックというゲームは攻める側か守る側かを判断しながらプレイすることが大事だが、このデッキは多くのマッチアップで攻める側に回ることとなるため、こちらの勝ち筋を通して先に勝ちきることを意識するのが大切だ。
このデッキのプレイは大まかに以下の4段階に分かれている。

  1.  クリーチャーの展開

  2.  ドロー操作による手札の整理(最低限の土地、後続のクリーチャー、適切な妨害札の収集)

  3.  妨害を構え、除去や脅威に対処

  4.  表現の反復によるリソースの回復

基本的には上から順番に実行していく事となる。
1. について、よほどマリガンが続くか、極端なマッチアップでない限り、1T目には必ずクリーチャーを展開する。そしてチャネラーやデルバーなら速やかにパワー3飛行に育て、ラガバンなら地上クリーチャーを除去するなどしてアタックを通せるような状況にする。除去られてしまった場合は後続を展開し、追加のクリーチャーがいない場合は2. のドロー操作や4. の反復で探しにいく。
2. について、デッキコンセプトのところで述べた通り、クロックパーミッションというデッキは土地、クリーチャー、除去、カウンターを適切に集めて手札を整えていく必要がある。そのために重要なのがドロー操作だが、これにも当然マナを使うため、より脅威度の高い呪文が飛んでくる中盤以降に備えて、早めに手札を整えマナを構えられるようにするのが第二段階である。ドロースペルの連打がチャネラーやデルバーの成長に貢献するのもあり、最低限の妨害を構えつつ、手札のドロー操作は早いターンから使い切っておきたい。ただし、妨害を構えるのに充分なマナと手札が確保できた場合は、なるべく構えることを優先した方がよい。
3. について、書いてあるとおりだが、盤面と相手デッキを見ながら適切な妨害をあらかじめ集めておく必要があるため、環境理解が重要なファクターとなる。余分な土地やクリーチャーを出さずにドローゴーして、手札にカウンターがありそうな雰囲気を出すのも大切だ。
4. について、基本的に構えていた方が強いため、手札と盤面が充分に整っている場合は反復を撃たない方がよい。ただし、1マナカウンターや除去を構えつつ撃てる場合や、クロックが手札や盤面にもない場合、終盤で稲妻を引けば勝ちの場面など、積極的に撃った方が強い状況もある。基本的には、手札に特定のカードが欲しくなったら撃つ、という感じ。

バーンやハンマータイムなど、自分より早いデッキ相手で守る側に回る場合は上のセオリーは通用しない。クリーチャーの展開よりも妨害を優先し、負け筋を潰す意識でプレイする必要がある。ただ、ハンマータイムがサーガプランを取ってきた場合はアドバンテージ負けするため、必ずしもその限りではないのだが……

キープ基準

1T目にクリーチャーを出せること、が基本的なキープ基準だ。土地0枚または土地4枚以上はほぼマリガンだが、逆に土地1枚はクリーチャーさえいれば概ねキープできる。マリガン1回まででキープできることが多いが、どうしてもクリーチャーが見つからない場合は、マリガン2回くらいでキープした方が良い。勝つためにはどうしても手数が必要で、あまりハンド枚数は減らせないためだ。
土地1枚でキープできる条件は以下の通りだ。

  • 土地から青赤の両方が出る

  • 1マナクリーチャーがいる

  • チャネラー+ドロー操作がある、またはドロー操作が2枚以上ある

土地1枚ということは他6枚はそれ以外だということで、けっこう上の条件を満たしていることが多い。ドロー操作で土地を全力で探せば、だいたい3T目までには2枚目の土地が見つかるので、まったくゲームにならない、ということは少ない。
理想的なハンドは、例えば以下のようなものだ。
土地2(フェッチ込み)、ラガバン、チャネラー、稲妻、対抗呪文、表現の反復
ここまで理想的な初手はそう来ないが、ドロー操作していれば自ずと近い手札にすることができる。

クリーチャーの展開優先度

1マナクリーチャーが多い構成のため、初手で複数種類引くことはままある。その場合、基本的にはラガバン→デルバー→チャネラーの順で展開するのがよい。
ラガバンは地上クリーチャーやレン六で止まる都合上賞味期限が早く、かつ初動で生き残った際のリターンが大きいため最優先でプレイする。デルバーは1T目にプレイした場合は2T目の変身に手札を使う必要がなく、かつ除去られた場合の損失が少ないため次点でプレイする。チャネラーはこのデッキにおいて最強の1マナクリーチャーであり、生き残った時間が長いほど手札の質が高まるため、なるべく除去を当てられないように後から展開するのがよい。2T目に昂揚達成できる可能性が少し低いというのもある。また、たとえ除去られても2T目にチャネラー+血清の幻視と即座にプレイする事で諜報1回分が保証されるのも覚えておきたい。
マッチアップや手札にもよるが、基本的にクリーチャーを2体並べたらそれ以上展開するよりも構えた方がよい。大切なのはクロックを維持して継続的に殴ることである。

ドロー操作のテクニック

繰り返しているとおり、このデッキは手札をバランス良く整えておく事が大切だから、効率よくドロー操作を行うのは非常に大切だ。レガシーでブレストの撃ち方に様々なセオリーがあるのと同様である。
また、デルバーやチャネラーを早いターンから成長させるという意味でも、ドロー操作は非常に重要となる。特に、デルバーとドロー操作の相互作用には固有のテクニックがいくつかある。
ドロー操作に関連したテクニックには以下のようなものがある。

  1.  ドロー操作を撃つ順番

  2.  フェッチとドロー操作の相互作用

  3.  デルバーとドロー操作の相互作用

  4.  チャネラーとドロー操作の相互作用

  5.  (番外編)相手のラガバンとドロー操作の相互作用

1. について、基本的にはガラクタ→血清の幻視→考慮の順でプレイする。
ガラクタは0マナのためいつでも使えるが、基本的にはさっさと使って他のカードに代えてしまった方がよい。スロートリップで引き込んだカードをメインでプレイできないタイムラグは、テンポを重視するこのデッキでは看過できないため、たとえ帳簿裂きとのシナジーが見えていてもさっさと使った方が良いことが多い。ドロー操作でガラクタが見えた場合も概ね墓地に送って他のカードにした方がよい。ガラクタは墓地に落ちるのが仕事で、それが何になるかわからないランダムカードであることがほとんどだからだ。
血清の幻視も、占術でトップに置いたカードを引き込むまでにタイムラグがあること、昂揚達成に貢献しやすいこと、カウンターと同時に構えられないなどの理由から、優先的にプレイした方がよい。
考慮はインスタントで妨害と両方構えられることもあって、最も優先度が低い。ただし、ガラクタで自分のトップを確認し、それが不要牌だった場合は、諜報で墓地に送ってドローするために幻視よりも考慮を優先する。

2. について、ガラクタとフェッチ、血清の幻視とフェッチのプレイ順には気をつける必要がある。
ガラクタについて、手札にガラクタ、フェッチ、フェッチでない土地の3種がある場合は、まずガラクタをプレイし、自分のトップを確認して、それが必要か不要かで置く土地を変えることで、トップを1枚分操作することができる。フェッチしかない場合でも、相手ターンのアップキープでスロートリップが解決した後でフェッチを切ればトップの有効牌を引くことができる。ただし、メインで使えるマナが減るため、クリーチャーの展開が必須な1T目にしたい行動ではない。ドロー操作よりもクリーチャーのプレイが優先である。
血清の幻視について、フェッチを切ってからプレイするように注意する。幻視を先にプレイして占術2が両方トップだった場合、その後でフェッチを切ると有効牌2枚がシャッフルされてしまうためである。

3. について、ドロー操作をうまく使うことでデルバーが変身する確率を上げられる。
ガラクタは、1T目にデルバーと一緒にプレイし、自分のターンではなく相手ターン中に起動して、自分のトップを確認する。こうすることで、自分の2T目アップキープにデルバーの変身とガラクタのスロートリップが同時に誘発するため、自分で解決順を選ぶことができる。ガラクタで確認したトップがインスタントかソーサリーだった場合、デルバーの変身を先に解決し、その後にガラクタのドローを解決することで、確実に変身させることができる。ガラクタで確認したトップがそれ以外なら逆順で、ガラクタのドローを先に解決することで、新しいトップでデルバーの変身に挑戦することができる。デッキのインスタント・ソーサリーの枚数は25枚なので、このようにプレイすることで、だいたい7割くらいの確率で変身させることができる。
血清の幻視は、1T目のデルバープレイと両立できないが、2T目に変身しなかった場合、2T目にプレイして占術2でインスタントかソーサリーをトップに乗せることで、3T目の変身を予約できる。
考慮は、デルバーの変身に貢献することはできないが、デルバーの変身で確認したトップが不要牌だった場合、ドロー前に考慮を撃つことで、諜報によってトップを弾くことができる。ただし、構えられるマナが減ることになるので、状況を選んでプレイすること。同じ事がフェッチによるシャッフルでもできる。

4. について、チャネラーがいる時は昂揚の達成を積極的に狙いたいので、諜報は墓地へ送ることが多い。ドローが連鎖する場合はドロー操作をトップに残してドローする場合もあるが、基本はマナを残した方が強いので墓地へ落とした方がよいことが多い。クリーチャー、ファクトは墓地へ落ちにくいので、昂揚未達成の場合は積極的に墓地へ送る。ガラクタやデルバーの変身で確認したトップを諜報によって弾けるのも覚えておくこと。

5. について、相手にラガバンがいる場合はいつも通り強いカードをトップに置いても相手に使われるだけだから気をつけような! ひいろさんとの約束だ! 疾駆で出てくる場合は忘れやすいぞ! (3敗)

サイドボーディング

入れるカードはわかりやすいというか、どれに入れるか考えて構築すると思うので、抜くカードの候補を何パターンか紹介する。

ミシュラのガラクタ:
ミラーやフェインデス、ジャンド、オムナスコントロールなど、稲妻、激情などの除去、思考囲いや悲嘆などのハンデスが豊富なデッキ相手でサイドアウトする。ドロー操作の中で単体のパワーが低く、概ね昂揚達成用のカードなのだが、除去が多いデッキ相手ではクリーチャーが墓地に落ちることが多く、ファクトがいらないことが多いためだ。

ラガバン:
ハンマータイムやヨーグモスなど、クリーチャーを展開してくるデッキでサイドアウトする。地上の1/1で止まってしまい、カード1枚分の役割を果たせない場面が多いためだ。独創力相手の時も、寓話のトークンや土地から出るドワーフで止まりがちなので、後手の場合はサイドアウト候補になる。
先手後手で強さが大きく変わるカード(特に先手2T目に月のルートがある場合)のため、先手番では残して後手番でサイドアウトする事も多い。

デルバー:
ミラーなど、飛行クリーチャーの絡んだロングゲームが必須のマッチアップではサイドアウトの候補になる。1T目からライフを詰めていくよりも手札の質やアドバンテージを取りあう事がゲームの焦点になりやすく、その場合に最も弱いクロックのため。

呪文貫き、呪文嵌め:
対象が少なそうな1マナカウンターはサイドアウトする。呪文貫きはクリーチャー主体のデッキ、呪文嵌めはマナ加速主体のデッキなど。レン六がそこまでキツいデッキではないので、レン六のために呪文嵌めを残すという意識はそこまで強くなくともよい。また、薬瓶や魂の洞窟でカウンターを避けてくる部族デッキの場合は、対抗呪文も追加で抜きうる。

稲妻、邪悪な熱気:
独創力コンボやコントロールなど、脅威度の高いクリーチャーが少ないデッキ相手でサイドアウトする。お守りに邪悪な熱気を残したり、最後にライフを詰めるために稲妻を残したりと、抜ききらないこともある。

表現の反復:
極端に早いコンボなど、フルタップするのが危険なマッチアップでは少し減らすこともあるが、概ね4枚残すことが多い。

まとめ

  • 一般的なURと違い、1マナクリーチャーとドロー操作を増やして速度と安定性を上げている

  • とにかくクリーチャーの展開と維持を最優先すること

  • ドロー操作は奥が深い

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