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2024年夏バルカン半島周遊その2(コトル編)

 バルカン周遊2か国目はモンテネグロ。旧ユーゴの中では比較的平和裡に独立を果たし、「ユーゴスラビア連邦」の枠組みにとどめを刺したこの国は、福島県ほどの面積に4つの世界遺産を抱えている。今回はそのうちの1つ、コトルを訪れた。

ポドゴリツァの宿はクラシックなスタイル。風呂場のドアは壊れていた
社会主義の気風を感じる駅前
社会主義の気風を感じる街角
スーパーっぽいが、どちらかといえば市場に近かった
ポドゴリツァのバスターミナル
バスターミナルで野犬が寝る町ポドゴリツァ

 もともとの計画ではサラエボからドゥブロヴニクに向かい、その後コトルに直接入る予定だったが、ドゥブロヴニクをカットしたため、サラエボから直接アクセスが可能で交通の便も良いポドゴリツァに宿を取ることにした。モンテネグロはそれほど大きな国ではないので、ポドゴリツァーコトル間であれば十分日帰り可能だ。
 ポドゴリツァには「欧州一醜い首都」などという非常に不名誉な呼び名がある(出典不明)。確かに観光名所は少ないものの、旧ユーゴ時代にティトーグラードと呼ばれていたこの町は、そのかつての名を表すように今も社会主義時代を思わせる、ともすれば無機質で画一的な団地が立ち並んでいる。もっとも、ポドゴリツァの伝統的な町並みは第2次大戦時の爆撃で失われてしまったのだが。

 コトルはアドリア海沿岸部、コトル湾に面した港町で、ビザンツ帝国、セルビア王国の支配を受けた後、15世紀頃からヴェネツィア共和国による支配が始まり、この支配は18世紀末まで続いた。この影響で町には正教とカトリックの教会が混在し、ヴェネツィアによって築かれた城壁で囲まれている。また、この要塞建築はイタリアのベルガモ、クロアチアのザダルなどとともに別の枠組みで世界遺産に登録されている(16世紀から17世紀のヴェネツィアの防衛施設群:スタート・ダ・テッラと西スタート・ダ・マール)。

ポドゴリツァから1つ山を越えると、コトルと並ぶリゾート地ブドヴァが見えてくる
ブドヴァからさらに山を越え、コトル湾とご対面
コトルの長距離バス時刻表。首都とはけっこうな頻度で往来がある
嘘みたいな城門だが、本物だ
山が海に迫っている地形は神戸っぽい
リゾート地とあって豪華客船ぎ3隻も停泊していた
イタリアっぽい雰囲気。行ったことないけど
町に溶け込む教会
町外れにある名店バスティオンで昼食

 コトルは町の背後に山がそびえ立っており、そこにも城壁が築かれている。そして、この城壁は登ることが出きるのだ。山上からはコトルとコトル湾が一望できるということで、気温35℃を超える猛暑かつ15ユーロという決して安くはない入場料を支払い、山を登ってみた。

この路地を抜けて登山道に入る
中腹からでも絶景は十分拝める
もう少し登るとこんな感じ
道は狭く、すれ違う時は舗装のない地面に立たねばならない
この写真を撮っている時は心が折れかけていた
山上からの景色。ここまで来ると達成感が絶景を前にした感動を上回ってくる
中腹にある教会は往復ともに休憩スポットとして重宝した
教会の軒下で寝る猫


海洋博物館。この日は30歳まで入館無料だった
聖トリプン教会は2度の地震を経験したが、塔以外は12世紀の姿を残している
教会からの風景
コトルは猫があちこちに落ちている
排水口に手を突っ込んで寝る猫
みんな同じ姿勢で面白い

 コトルだけでも十分満足度が高かったが、せっかくここまで来たので近郊の町にも行ってみることにした。コトルからバスで30分ほど走った場所にあるペラストである。

バスにはコトルの城壁前にある広場から乗車できる
どことなく日本の理想上の夏(ヨーロッパ版)っぽい

 コトルと比べれば非常に小さな町だが、ヴェネツィア支配時代の最盛期には4つの造船所を抱え、ナポレオンによってヴェネツィア本国が征服された際には最後に降伏したことでも知られるペラスト。この町はまた、「岩礁の聖母」と呼ばれる、海に浮かぶ教会があることで有名だ。

高低差の大きな町だ
岩礁の聖母へは、このようなボートで渡ることができる
ペラスト全景
岩礁の聖母が見えてきた

 15世紀頃、船乗りたちは海に浮かぶ岩礁で聖母子像を見つけた。以後、航海の成功のたびにこの岩礁に石や岩が積まれていき、いつしか人工島を成すようになったと言われている。教会自体は17世紀の建造ということだ。

観光客がひっきりなしに詰めかける
岩礁の聖母の海を挟んで隣には聖ジョージ島がある。上陸している人もいたが、行き方は謎

 ペラストも人気観光地のひとつだが、コトルほど人は多くなく、沿岸部のホテルやレストランもどこか落ち着いた雰囲気で、まさに「大人のリゾート地」という趣だった。いつかここでワイン片手に海鮮料理、なんて楽しみ方もしてみたいものだ。

コトルに負けず劣らずの迷路ぶり
天気には恵まれたが、この後コトルに戻るバスを1時間、炎天下で待つハメになった

 日没前にコトルを出たが、ポドゴリツァに帰る頃には10時を回っていた。翌朝は朝食もそこそこに宿をチェックアウトし、旧ユーゴのようで実はそうでない国、アルバニアを目指す。いよいよ旅も後半戦だ。

朝食会場もクラシックスタイル。薄暗いのはご愛敬
缶詰が出るあたりは東欧っぽい。右の揚げ物はモンテネグロ名物肉巻き肉フライ「ポペツィ」
アルバニアのティラナ行きチケットはオンラインでも購入可能だが、タッチパネルの反応がやたらと悪かった
ポドゴリツァからいくつかの町を経由しティラナへ向かう


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