【エッセイ】定期購読

　以前、かなり長い期間に渡ってとある雑誌を定期購読していた。発行される都度、書店を巡り在庫の有無を確かめながら購入するのが割と大変だったので、常に確保された安心が欲しくて途中からそうした。付録として、必ず鉱石がついていて、それに合わせた専門的な知識が冊子には載っており、一通り読み終えたら専用のバインダーに綴じて石を手の平に乗せて眺め回した。未加工ならではの無骨さが良かった。最初がアメシストだったのはよく覚えている。次にパイライト、石英や母岩を含んだルビー、と、地道に増えていったわけだが、二十号毎に標本箱が配られるためそれまで集めていたものは綺麗に収まる。
　最も印象に残ってるのはデザートローズ。日本語に直訳すると砂漠のバラ、だが、その名の通り土っぽい色合いの花が咲いたような形なんです。だいぶ大袈裟かもしれませんが自然が生んだ奇跡とはまさにこのことか！　と当時は驚きと興奮で胸がいっぱいでした。