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【エッセイ】夜が長引く(Ⅲ)

 私たちの出店はアロマキャンドル作りの体験。ありがたいことに、三人、後輩が加わり新体制となって初のイベントが文化祭になる。テーブル毎に、砕いたロウソクと色付け用のクレヨンをコップに入れる、鍋で溶かす、そして好みのアロマオイルを混ぜて、固まるのを待ちつつラッピングを行うブースを設け、入口で会計が済んだら順序に沿ってぐるりと回ってもらう。研究会が迫るなか実験を早く切り上げて接客練習を何度も重ね、互いに意見を言い合って毎日アップデートを繰り返した自慢のお店。自信はついていた。
 朝、部員総出でチラシを配った甲斐があったのか立て続けにお客さんが来てくれるのは嬉しい誤算だった。リピーターがいて、同級生、さらに卒業した先輩もやってきて午後の部室はごった返していた。想像以上の賑わいに鳥肌が立ち、同時に、神経が昂っていた。