【エッセイ】模様
車で沿岸部を走っていく最中に必ずといっていいほど視界に入るのが、急勾配な崖の斜面に塗られた格子状のコンクリート。恐らく、近くの民家や、川や海、そして道路への土砂崩れを防ぐために固められたのだろう、山肌の露出を最低限に抑えた甲斐あって、見る人に安心を与えてくれそう。ごくありきたりな憶測が立つのと同時に、私はお菓子のワッフルを連想してしまいます。別にお腹空いてるわけじゃないんですが、凹凸のついた二枚の鉄板に挟まれ、表面がカリッと焼き上がった生地が脳裏を駆け巡るどころか、外の景色とは無関係に、バターの香りが鼻腔をくすぐる気配さえ、通りすぎた直後にはある。似た経験をされた方いませんか。仲間ですね。
どうしてあの模様なのか。平坦だったら僅かな揺れでもひび割れを引き起こしやすかったり弱点を抱えているが故に、耐久性を重視したらああなるのか。非常に気になる。工事長が甘党だからではあるまいし、いやまさかな。