【エッセイ】「去る」と「猿」
熱中症の注意と予防のための対策を呼び掛けるニュースが頻繁に流れる。実際、夏の日差しが眩しく、ただ外で突っ立っているだけで全身の毛穴から汗を噴き出しているんじゃないかと疑うぐらいに暑苦しい。
無事、収穫を迎え、塩漬けにされた梅を天日干しようと祖母が竹製のザルに並べはじめたのはここ最近の出来事で、塩分の補える、夏バテ防止の心強い味方となってくれるはずと信じて首を長くして完成を待ち望んでいる。前もって食材からレシピを探しておこうと思い立って、私は、パソコンでインターネットブラウザを起動し検索をかける。するとページ上部にはプロが考案した気軽に作れる料理の他に、関連してなのか「申年の梅は縁起が良い」という、見出しを見つけた。平安時代の天皇が梅干しを食べて病気を治した歴史が由来となっており、流行り病が「去る」と「猿」を引っ掛けて験を担いでいるんだとの記述があった。今年のはいつもよりもっと大事にいただこう。
(この文章は2016年に書き上げた作品を書き直したものです)