
『山野美容専門学校 入学』
三月に無事に高校を卒業し、四月からは
憧れの、山野美容専門学校に入学した。
最初の半年は、伯父の家(川崎市宮前区)に
居候させてもらうことになっていた。
田園都市線 宮崎台駅から、渋谷まで出て、
山手線に乗り換え、代々木で降りると、学校はすぐ近くにあった。
入学式の日、緊張というよりは
ドキドキ、ワクワクで、胸が高まっていた。
入学式の朝、学校に入り、自分の名前とクラスを探す。
だが、これがなかなか見つからない。
山野美容専門学校は、1クラス、65人で
1〜20クラスまであったのだ。
ちなみに、僕は15組だった。
校舎の中をうろちょろし、15組を探したが
なかなか見つからない…。
一度、校舎を出て、たまたま前にいた人に聞いてみたら
13〜20組は、奥の別校舎だった。
手前の、キレイで立派な校舎は12組までで
後半の13〜20組までは、その奥の、ボロい校舎だった。
山野は、日本で一番最初にできた美容学校だが
たぶん、このボロ校舎は、そのときの建物なのであろうと思った。
なんだか、ハズレクジをひいた気分だが、
まあ いい。とにかく我が15組へ行こう。
クラスに入ると、もう2/3くらいは席に座っていた。
席は、二人でひとつの席になっていて、
となりは、池田ヒロコさんという女の子だった。
しばらくして、ヨボヨボのお婆ちゃんが入ってきて
挨拶を始めた。
みなさぁ〜ん。わたしが、担任の
益田でぇす。一年間がんばりましょうねぇ〜 と、おっとりとした声で言った。
何人か、クスクスと笑っていた。
ひと通り、自己紹介やら、説明が終わったあと
僕を含む3人が前に呼ばれて、定期券の手続きに不備があるから
事務室に行くように言われた。
3人は、言われた通り、事務室に行き、
書類を直して、教室に戻った。
教室に戻ると、となりの席の池田さんが、
「先生が言ったこと、書いておきました。」
と、僕の分のノートまで、とっておいてくれたのだ。
なんて優しい…。。。
初対面なのに…と思った。ちょっとだけ胸キュン。(笑)
ちなみに、65人×20クラスのうち分けは
女子50人、男子15人である。
翌日から、授業が始まり、午前中が学科の場合は
午後が実習、もしくはその反対。
学科の授業は、アコーディオンカーテンを開き
となりの16組と一緒に授業を受けて
実習は、別館の実習室で15〜17組までの3クラスでおこなった。
実習は、200人近い生徒が一斉にやるので、
慣れるまでは、迫力を感じた。
同じ白衣を着た生徒が、一斉に同じことをするからだ。
もともと社交的だし、人懐こいタイプの人間なので
スムーズに、友達もできた。
男子15人と言っても、だいたいは3つくらいの
仲間みたいな感じで別れて、
僕は、大場、小川、窪内、根布谷さん(この人は6歳年上だった)
と、一緒に過ごすことがほとんどだった。
何故だか、楽しい予感を感じた。
そんな、美容専門学校のスタートである。
つづく
