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『 ツルモク独身寮 』

まあ、ほとんど知られていないマンガだとは
思いますが、僕にとっては、深い思い入れがあるのです。

あまりマンガを読まない僕が、数少ない
所有している作品のひとつ。


僕は千葉の県立高校を卒業し、美容専門学校に
入学するため上京した。

それと、ほぼ同じくして、この「ツルモク独身寮」の連載が始まった。

確か、週刊スピリッツだったと思う。

美容学校の同級生の勧めで読みはじめたのだが
惹き込まれるように夢中になって読んだ。

内容について書いてみる。


四国の片田舎の高校を卒業して、都内の家具メーカーに就職し、上京した
主人公 正太、そこで寮生活が始まり、社会人となる。
女子寮にいる総務の みゆきと出会い胸キュンの
寮生活となるのだが、
故郷に残ってる、ひとつ年下の高三の彼女
ともみとの間で揺れ動く気持ち…

社会人一年目の工場勤務の葛藤、先輩や同期
さまざまな人間模様が描かれて、
笑いあり、恋愛あり、青春ありのマンガである。


なぜ、このマンガに思い入れがあるのかというと

僕が高校を卒業し、上京した頃

主人公 正太も同じく上京し、新しい人生がスタートする。

ファッション、音楽、ディスコ、飲み会、
あらゆるものが現実の僕の姿に重なったのだ。

笑えるシーンがたくさんあるのだが、同じくらい
ジーンと胸が熱くなるシーンも多く
一緒に生きてるような錯覚に陥いる。

内容の転末は、敢えてここでは書かないが
最後は感動で終わる…


11巻までの、決して長いとは言えないコミックだが
当時、買って集めた全巻を、引っ越しのたびに
ちゃんと持って行って、たまに読み返したりもしていた。

僕が40歳の頃、事情があって、市内の別のところに引っ越したのだが
部屋が狭くなることをきっかけに、小説やファッション誌、マンガなどをBOOKOFFに
ダンボール四つくらいまとめて売りに行った
(処分した)  
大量の本類を処分できて、それはそれでスッキリしたのだが
翌日から、何かソワソワして、胸がざわついた。

あの「ツルモク独身寮」がもうないのだ。

僕はいても経っていられず、また翌日
BOOKOFFに行って、「ツルモク独身寮」全巻セットを探した。
そして、それを見つけて、また買って帰ったのだ。
やれやれ… (もしかしたら自分が売ったものかも知れなかった)

結局、売った本以上の出費をして
「ツルモク独身寮」をまた部屋に置いた。

以来、ずっと手放さずに保管している。
色は褪せ、シミだらけの、キレイとは言えない
本だが、僕は満足だ。

今年、三月、離婚をきっかけにアパートに引っ越したが、今も目の前に置いてあり
いつでも読めるようにしている。

これから先、何度 引っ越しがあっても
手放さないと決めてある。

今の若い人たちが読んでも、面白さは伝わらないだろうが
僕と同世代のひとには、かなり懐かしさや
面白さを感じるのではないだろうか。

「ツルモク独身寮」が好きなひとがいたら、三時間は語れる自信があります
(笑)

誰にでも、ずっと捨てられないものってありますよね。

僕は、中学のときの初恋のひと
諏訪 有香の年賀状をいまだにとってあるし、高校時代の彼女、美容学校時代の彼女、それ以降の彼女からの
手紙や写真をすべて残してあります。

それは、未練などではなく、自分の生きた
歴史の一部であり、ゴミ箱に捨てることがどうしても出来ないのです。

前回の、「最後の夏休み…淡い恋」を書いたときに、そのときの手紙箱を見つけました。

その箱には、今までもらった、数人からの
たくさんの手紙が詰め込んであり

あらためて読んだりしましたが、今でも
読むと胸が熱くなり、愛されていたんだな…
と感じ、感謝の気持ちに涙が出そうになります。

もう、そのひとたちと会うことは
ないと思いますが
どうか 元気に幸せに生きてくれてる
ことを願っています。

長くなりましたが、最後まで読んでくれて
ありがとうございます。

猪鼻康幸 

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