『 灯台について 』
ある日、あるとき、ある瞬間、
僕の中に何かが降りた。
「 お前の前世は、灯台守ぞ…と。」
「え?そ、そ、そうだったのか… だから、灯台を見ると特別な気になるのか。」
僕はクルマを走らせ、そのまま
南房総最南端にある
野島崎灯台に向かった。
と、いうのはもちろんまったくの冗談で、
きっかけはiPhoneである。
初めて持ったiPhoneは、確か4s だった。
それまでのガラケーと違って、写真がとても綺麗に撮れた。
では何を撮ってみようか?
そこで浮かんだのが『灯台』である。
僕が暮らす房総半島は、あたりまえだが、
海に囲まれていて、たくさんの灯台がある。
20代前半で、美容師を挫折して、木更津に帰ってきた。
木更津だと、クルマがないと何かと不便なので
中古車を買った。
確か、トヨタのカリーナED という、ハードトップのクルマだ。
とても運転しやすかったが、かと言って、土地勘もなく
行くところも特にはなかった。
とりあえず、国道を下って走ってればどっか着くだろう。
何をするにも計画性がなく、気分で出かけてしまう それが僕だ。
カセットテープに録音してあった、
Boowy 、レベッカ、B'z、…
これは、ドライブではないな。
そう思って選んだのは、ドリカムだった。
これ。これ。これ。
ドライブにぴったりだ!
アルバム「 LOVE GOES ON 」と
「WONDER 3」である。
話がそれたが、ドリカムを聴きながら、
ひとりドライブをする。
もちろん、ナビも地図もない。
そしてたどり着いたのが、この"野島崎灯台"だった。
とても大きな灯台で、昼間は灯台を上ることもできる。
周りは遊歩道になっていて、散歩するにもすごくいい。
そんな思い出がよぎり、iPhoneを持って野島崎灯台に向かった。
それから、休みのたびに、いろんな灯台に行くようになった。