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京都府警察本部長パワハラ事案

Column~№25
 京都府警察本部長が部下に「殺すぞ」とパワーハラスメントと思われる発言をし、本部長はこの不適切な発言を認めた。しかし詳細について本部長は関係者がいること。また現在調査を受けている立場であることを理由に、詳細な説明を差し控えた。そして報道のあった翌日には同本部長は警察庁へ更迭された。一部の報道では都道府県本部長クラスのパワーハラスメント疑惑が明らかになったことを異例のことだと報じているが、それは記者が知らないだけである。
 つまり表に出ることが異例なだけで幹部のパワーハラスメントは常に話題になっている。ただし各都道府県警察の本部長の誰もがパワーハラスメントをしているわけではない。その点誤解がないよう説明をしたいと思う。
 基本的にはどの組織もヒエラルキーの構造になっているが、特に警察と自衛隊は上下関係が厳格に線引きされている。警察で言えば巡査、巡査部長、警部補と階級別の差があるのはもちろんだが、署長も副署長も同じ警視であるのに立場の違いは明確である。この階級と立場の違いが組織を動かす指揮・命令権という権限に繫がるため、パワーハラスメントの1つの要因になっている。私はパワーハラスメントを容認するつもりはないが、組織的な構図を考えれば他の組織よりもパワーハラスメントが多いのは当然の結果だと思っている。
 なおパワーハラスメントの訴えは国民が想像している以上に多いのが実態である。警察は懲戒処分に該当しないため発表していないだけで注意を受けている者は大勢いる。注意を受けた者は他所属へ異動という処分を受けるが、中にはボーナス査定での減額措置を受ける者もいる。しかしこのような処分は中堅幹部の話で、所属長クラスのパワーハラスメントは厳格に調査も処分もされない。
 実際に署長クラスのパワーハラスメントの訴えを目にしているが、中にはその訴えが認められて署長が左遷させられた例もある。しかし大半は訴えた者が異動させられ、そして密告者のレッテルを貼られていた。
 訴えが退けられる原因の多くが日頃「パワハラ署長」と裏では口にしていても、いざ調査が始まると訴えから距離を置くためである。つまり他人が起こした謀反には参加しない、巻き込まれたくないという結果が訴えた者を見殺しにしていた。したがって京都府警察本部長のような幹部の話が「明らかになる」のが異例なだけであって、幹部によるパワーハラスメントは珍しいことではない。
 京都府警察本部長の話に戻ると、鹿児島県警察本部長事件の後に続いて起きた2つの本部長クラスの事件は本部長の資質に問題があるのか、それとも組織としてのヒエラルキーが崩壊しているのか。または別の問題なのか分からないが、警察の組織構造を考える重要なターニングポイントを迎え始めているような気がした。

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