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滋賀県警察の問題はそこではない

Column~№40
 滋賀県警察本部が証拠品の保管状況が不徹底だったことを公表した。7警察署で3,829点の証拠品や証拠資料が放置されていたと言う。発端は昨年10月に警察署で証拠品として未登録のけん銃が発見されたことで、これに基づき県下12警察署の証拠品を調べた結果だという。
 報道によれば「証拠品として未登録のけん銃」とあったが、証拠品登録が未完だったのであれば登録ミスだが、「証拠品と思われる」未登録では話は全く違ってくる。後者であれば警察署が現場となる事件だ。文面から読むと前者なのだがそこは滋賀県警もきちんと明確な記事の掲載を望んでいただろう。
 証拠品の紛失事案は毎年発生している。そのため警察も再発防止のため証拠品専門の担当者を配置しているがなかなか根絶できない。原因は扱う数が多すぎることやニューマンエラーなどいろいろ存在するが、私も現職中は証拠品の扱いには苦労した。
 滋賀県警の不適切管理は数も問題だが、それ以上に問題なのは幹部の対応だと思う。全国のどこかで証拠品の紛失事案が発生すれば、都道府県警察は必ず業務監察の項目や臨時で点検をしている。警察庁から指示がなかったとしても歴代の本部長は全国で発生した不祥事案を我がことに捉えて点検させるべきではないだろうか。
 また本部長が指示していたが各警察署の署長が適当に対応していた可能性もある。署長は本部長の命を受けて厳格な指示を部下にしていたが担当者が適当に対応していた可能性もある。更に言えば厳正に指示を履行したが保管の不徹底から虚偽の報告をしていた可能性もある。ただ個人的には虚偽報告は今の時代、自分のことでなければやる者がいないので可能性はないと思っている。したがって「対岸の火事」だと幹部が思っていたか、または適当に点検していた可能性が高いということだ。
 確かにこれだけの数の証拠品が不徹底なのは問題だが、それを管理していた組織体質にメスを入れなければこの問題は再び起きるだろう。そしてそこを明らかにするのがメディアの仕事ではないだろうか。特に複数年に亘って不正があった場合、今の責任者が追及される傾向にあるが今の責任者は事案を明らかにした功労者である。責めを負うべきは前の責任者であることを考えて欲しい。

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本郷矢吹
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