
機密文書紛失
Column~№67
2月10日に財務省は不正薬物の密輸の疑いのある人物187人分の個人情報を紛失したと発表した。原因は職員が会議で受領した資料を持ったまま飲酒の会合に参加したためだと言う。この職員は税関職員で、日本の税関は財務省の地方支部・分局部局という位置付けになっている。
製造業には「ポカヨケ」という言葉がある。これは製造ラインで起きる作業ミス、つまりヒューマンエラーを防止する仕組みや装置のことを意味する。税関業務は製造業ではないがヒューマンエラーを想定した事故防止策を講じていなかったのか、それとも講じていたがこの職員がそれに従わなかったのかが争点だと考える。
過去警察でも似たような事故が起きている。県下の署長や副署長、そして各課長が警察本部に集まって会議が行われるが、その会議の中である幹部が配布された資料を同じように飲酒をして紛失した事件があった。その結果以後の会議では資料を持ち帰ることを禁じ、必ず郵送されることになった。ただ警察の場合は日本郵便が配送するのではなく、警察職員が配送する逓送というシステムによって配送される。
またメールの送受信も警察専用回線を使用していることから誤送信しても部内の他の係に届き外部に漏れることはない。外部と繫がっている回線はあるが、それは専用のパソコンのみになっている。したがって資料の紛失や漏洩防止はシステム的には構築されているため、この規定を守らずに個人で持ち出した場合にのみ紛失事案が発生する。
財務省をはじめとする中央省庁が地方分局と専用の回線や郵送手段を持つことはかなり難しいと思うが、ポカヨケは組織として構築する必要がある。ただ官庁が採用する再発防止策は「飲酒の禁止」という愚策が少なくない。誰かが飲酒に伴い物を紛失したり、保護されたりすると連帯責任で全職員に飲酒を禁止する。私も何度も経験したがあまり従っていた記憶はない。
今回の件は捜査情報及び個人情報の流出という2つの問題に発展したが、無事に資料が回収されることを願っている。
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