北朝鮮の反動思想文化排撃法
Column~№13
北朝鮮問題は私も現役時代には深く関わっていたが、北朝鮮問題は日朝間の問題であるとともに日韓間の問題でもあった。日本が韓国よりも交渉が進めば、韓国との軋轢が生じる。本来それぞれが独立国家であることを踏まえれば2ヵ国間交渉を独自に進めれば良いことなのだが、それができないため今も日朝とは交渉が進まない。
北朝鮮から見れば交渉するのであれば、安定した政権を相手にする必要がある。日本は安倍総理時代には政権が安定していたが、その前後の政権はどれも短命政権だった。今の岸田政権も北朝鮮から見れば交渉相手としては疑問に思うのも当然であろう。
また韓国も前政権が親朝政権(北朝鮮を擁護する政権)であったように、融和と敵対を交互にしていては南北交渉どころか日本との関係も安定しない。現在の尹政権は北朝鮮に断固たる姿勢で臨み、日本とも緊密な連携も望んでいる。だが次期政権で再び親朝政権が誕生する可能性もある韓国を考えると、日本の対北朝鮮政策は本当に難しいというのが実状だ。
だが日本はどの政権においても北朝鮮と交渉しようと動いている。そんな動静に関する情報を今も耳にするが、日本が主導権を握っての交渉を耳にすることがないのは今も昔も変わらない。
北朝鮮は2020年に反動思想文化排撃法という法律が施行された。日本にはない北朝鮮の法律の1つであるこの法律は、文字の通り思想を統制するための法律である。
韓国のテレビドラマが北朝鮮思想を侵食していることから、この法律ではこれを禁止しているが、それ以外にも驚くような面白い内容がある。例えばサングラスを禁止している。これは金ファミリーのアイテムなので、他の人民には着用させたくないのだろう。
またワイングラスの使用を禁止している。これでワインを飲むのは西洋かぶれということなのだろうが、魯山人が聞いたら怒るのではないだろうか。やはり食は器が重要でどれだけ美味しいものでも器が使い捨て容器では旨さが半減してしまう。
だが一番重要なのはこのワイングラスに注ぐワインを飲める人民がどれだけいるのかということだ。そこを視点に考えると、この法律に意味があるのかという話である。ちなみに北朝鮮でもワインは作っている。ワインと呼べるのか分からないが、ワイングラスに注ぐためのものはあるそうだが味の方は解説が不要だろう。