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新千歳空港、2022工事と運用制限

北国の飛行場もようやく雪が消え、滑走路や誘導路の工事が本格化しそうです。4月21日付の航空路誌捕捉版(AIP Supplement NR055/22)で、新千歳空港の運用制限が更新されました。

▲ 新千歳空港の運用制限(AIPチャートに加筆)

その内容は、ざっくり言うと

  • 滑走路01R/19L(B滑走路)が6月まで、滑走路01L/19R(A滑走路)は6月から12月まで、毎日夜間閉鎖(日本時間23時から07時)される

  • 北側の複数の誘導路と南側末端付近の誘導路が、12月まで毎日夜間閉鎖(日本時間23時から07時)される

  • 一時期、滑走路01R/19L上にグルービングのない場所が生じる

ということです。(詳細はノータムで)

灯火類の運用制限についてはこの図には記載しませんでしたが、路面の工事に伴って当然のことながら灯火が運用できない期間が生じます。

これらの運用制限が行われる理由は、いろいろと工事が行われるからです。

▲ 滑走路北側の誘導路(Googleマップに加筆)

滑走路の北側から見ていきましょう。この付近で行われている大きな工事は、北側末端取付誘導路の複線化です。誘導路A2B2が北側末端取付誘導路ですが、それにH2を加えた直線の経路を複線化するもの。すなわち、H3A2SB2Sを新たに設ける工事が1年以上前から始まっています。

なぜこの誘導路が必要なのでしょう? 冬の除雪が関わるその理由については、こちらの記事をご覧ください。

このGoogle写真では「×」印がまだ残っていますが、誘導路H3はすでに使えるようになっています。そして誘導路A2SB2Sは半分ほど工事が進んでいます。滑走路に接続する部分は滑走路を閉鎖しないと工事ができません。またB2Sは、滑走路19R着陸用グライドパス(GP)の精密電波を保護する制限区域に入るので、GPの運用にも制限がかかるでしょう。

誘導路A2SB2Sの「」は「」の意味ですが、供用開始される頃には誘導路の名称がもっと分かりやすく変更されると思います。現に、増設された誘導路H3の完成に伴って、旧H3H5が 新たにH1H4と名称が変更になりました。

▲ 北側の誘導路(2022年5月4日時点)


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滑走路の南の方はどんな工事でしょうか?

▲ 滑走路南側の誘導路(国土地理院空中写真に加筆)

南側でも末端取付誘導路の複線化工事が始まります。正確な場所は把握していないので、ここに書き加えた誘導路の位置は私の勝手な想像です。南側はまだ着手されていないようですが、今年12月に雪が積もるまでの8か月以内に舗装まで終わらせる計画だろうと思います。

現在の誘導路A9だけは、今年6月から3年後の3月まで、完全に閉鎖されます。A9は新たに複線化される誘導路と重なる場所なので、このまま消滅するのだろうと予想しています。

▲ 誘導路A10上のエアドゥ機

写真は、滑走路01Lからの離陸のため、南端の誘導路A10を走行するボーイング767。この付近に新しく誘導路ができることになります。

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西側に計画されている平行誘導路の複線化工事は、2025年度の完成予定なのでまだ4年ほどあります。2022年度は木々の伐採ぐらいは行う予定があるのでしょうか?

▲ 平行誘導路D10上の777機

誘導路を南下して誘導路A8Sに入るところ。滑走路01Lのインターセクション・デパーチャーです。平行誘導路の複線化工事が始まると背後の林が消滅します。工事面積も広く、丘を削ったり沢を埋めたりと、かなり大がかりな工事になりますね。

▲ 滑走路19Rから離陸した767機

平行誘導路の複線化工事により、消防車や除雪車両の車庫などは少し場所を移すことになります。

何かと手間がかかりますが、北海道の玄関口、新千歳空港の冬季運航の改善を図るための一連の工事なのです。


※ 特記のない写真はすべて、2021年、やぶ悟空撮影

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