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飛行機のバランス
新千歳空港に進入してきた韓国の大型機、エアバスA330-300です。重心位置はこの辺りかな?
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"Optimum CG Position(最適な重心位置)- What is the best CG position for an aircraft ? " というエアバス社のプレゼン資料を基に、A330機の写真に書き加えてみました。
CG : Center of Gravity、重心
「Lift」とは揚力のこと。主翼から発生する飛行機を浮かせる力です。「Weight」は重量、赤矢印の機体側に重心があります。
これら2つの力(緑矢印と赤矢印)が加わる位置は、前後にずれています。通常は重心位置が揚力中心より前に来るように造ってあるので、機首を下げようとする力が常に働いています(Natural pitch down effect)。
そうならないようにするのが、水平尾翼で発生する下向きの力(Tail down force)。操縦桿を押したり引いたりすると、水平尾翼の後縁に付いている昇降舵(エレベーター)の角度が変わり、この力(Tail down force)の大きさを加減します。それにより機首が下がるのを防ぎ、機体(のピッチ)を安定させることができるのです(Aircraft stabilisation)。
注)「stabilise:安定させる、安定する」、米国では「stabilize」
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ところで、エアバスA330 といえば、…
いま日本の航空会社では使用されていませんが、以前はスカイマークが5機の A330-300 を運航していました。2014年6月から翌年1月までという短期間だったようです。
そのわずか半年ほどの間に、数回だったかな、スカイマークのA330に搭乗したことがありました。古い手帳をひも解いてみると、2014年の11月と12月にそれぞれ羽田~新千歳を1往復していました。機種まではメモしていませんでしたが、最大で4回搭乗したのかもしれません。
スカイマークのA330で今でも思い出せるのは足元の広さ。新幹線と競えるほどシートピッチが広かったように記憶しています。ネットで調べてみると、忘れていたさまざまな特徴が出てきました。
全席プレミアムエコノミー
2-3-2列のゆったりレイアウト
シート幅とシートピッチが広いグリーンシート
大型フットレスト付き
ひじ掛け内に収納される大型テーブル
ミニスカートのCAさん…など
そうそう、そうだった。いつもは LCCに詰め込まれるブロイラーの1羽になることが多かったので、スカイマークのA330は 広すぎて落ち着かない感じさえありました。当時は久しぶり感のミニスカも「売り」のひとつだったのでしょうが、あまり見つめては申し訳ない気がして、やっぱり落ち着かない。
とても快適なA330でしたが、無謀とも言える 巨大機A380の導入計画が頓挫し、A330も整理されることになったのでした。
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スカイマークは、それまでボーイング737-800型機だけの1機種で運航していましたが、大都市空港の発着枠制限に縛られ増便が困難な中で輸送量を増やすため、あるいは海外にも進出するためにも、機材の大型化を検討することは当然の流れだったのでしょう。それにしても、いきなり A380 って… 無理でしょ。
成長に欠かせないチャレンジ精神と それに伴って負うリスクのバランスを考慮しながら先を読むことって、とても難しそうですね。チキンハートのアタシは、とっても苦手。
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※ 写真はすべて、2023年夏、やぶ悟空撮影