千歳管制圏と 千歳特別管制区(その2)
お隣り同士で くっついてる「千歳飛行場」と「新千歳空港」のはなし…の続き。
前回の内容から、千歳管制圏が少し変わった形をしていることが分かりました。でも、もともと私が知りたいのは 千歳特別管制区の空域です。国土地理院の地図をベースにして、AIPの情報から作図してみました。
まずは、AIPの図と同じような書き方にしてみました。自分で書けば少しは理解が進むだろうという思惑で…。
千歳タカンを中心とする半径18nmの円が、千歳特別管制区(千歳PCA)のいちばん外側です。その円内の東側半分よりは少しだけ広く、内側の千歳管制圏(千歳CTR)の空域を除いたエリアが 千歳PCA です。
この図で分かりにくいのは高度です。エリアごとに上限と下限の高度を記入しました。数字の下に下線は「~フィート以上」を、数字の上に下線は「~フィート以下」を表します。同じエリアでも2つの高度範囲があったりするもんだからイメージしにくいんだよなぁ。
そこで、少し違う見方があるはず…と、次の図を描いてみました。
高度別にスライスしたイメージです。左上の図がいちばん低い高度帯で、右に(順次下に)進むと高度帯が上がる、と見てください。
高度700フィート未満には、千歳特別管制区(PCA)の空域はありません。千歳管制圏(CTR)が存在しています。
高度700ft以上、1000ft未満では、千歳CTRの北側と南側に千歳PCAが設定されています。着陸しようと滑走路に進入する航空機の安全確保のためでしょう。
高度1000~1500ftでは、千歳PCAの範囲が南北の進入コースに沿って延長されています。
高度1500~2000ftでは、千歳PCAの範囲が東側に拡がります。
ところが、高度2000~3000ftになると、千歳PCAの空域が急に小さくなります。あれっ?
高度3000~4000ftまで上がると、千歳PCA空域の広さが復活しました。この高度で千歳CTRの段差部分がなくなります。
高度4000ft以上では、千歳PCAの空域が東側の半円状に拡がって、
高度6000~8000ftでは、千歳CTRの上限高度より高くなります。高度8000ftが千歳PCAの上限高度です。(さらに上の高度はFL200まで千歳進入管制区)
こんな図を加えると、ようやく千歳PCAの空域像が浮かんでくる気がします。
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ところで、特別管制区って、何なの?
計器飛行方式(IFR)でなければ飛行禁止、という空域が「特別管制空域」(Positive Controlled Airspace)として指定され、そこを「特別管制区」(Positive Control Area)というようです。どちらも略語は PCA。
特別管制空域内を有視界飛行方式(VFR)で飛行するには、管制官の許可が必要です。
「航空交通管制区又は航空交通管制圏のうち計器飛行方式により飛行しなければならない空域を指定する告示」(令和2年10月8日 国土交通省告示第1270号 一部改正)の別表第3を見ると、「千歳特別管制区」の空域が 緯度・経度や高度などで指定されていました。
特別管制空域は、A、B、Cの3つに区分され、千歳特別管制区は「特別管制空域C」(Class C)に該当しています。クラスCというのは、PCA内の輻輳するIFR機どうしに安全な間隔を確保する指示が必要な空域…ってことのようです。そんなふうにIFR機で混雑しているところに、VFR機が自由に飛んでいては危なくってショーガナイ、ってことでしょう。だから、PCA内のIFR機とセパレーションを確保できる(周辺に他機がいない)ときや、悪天候などやむを得ないときにしか、VFR機には PCA内を飛行する許可が出されないのかもしれません。
ところで、千歳PCAの 2,000~3,000フィートの間って、なんで空けてあるんだろ?
そのことは、また次回に考えてみます。
※ 図は やぶ悟空の独自解釈で描いたもので、説明文も含めて誤りがあるかもしれません。ご承知おきください。
※ 写真はすべて、やぶ悟空撮影
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