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湿度のハナシ

冬は乾燥しますね。わが家で使っている加湿器、9年ぶりに買い換えました。パナソニック(FE-KXF15)からダイニチ(HD-RXT721)へ。

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▲ わが家の加湿器(各社のウェブ掲載写真を編集、縮尺は異なる)

吹き抜けで空間が広いので加湿能力も大事なのですが、それ以上に気になるのが清掃のしやすさ。これまでずっと加湿フィルターの汚れやカビ、臭いなど、手入れの手間や交換部品のコストに悩まされてきたのです。

このたび購入したダイニチ加湿器は、まだ1か月ほどの使用感ですが、手入れがしやすく加湿能力の高さも体感でき、気に入っています。ただ、何シーズンか使ってみないと分からないことも多いのでしょう。

湿度表示

気になったのは本体の湿度表示。これまでより、かなり高い値を示しています。能力が高くてそうなるのなら歓迎ですが、以前から部屋に置いてある湿度計の表示は2台ともほとんど変わっていません。

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そこで、3台で簡単な実験をしてみました。ダイニチ加湿器の設定をを60%にし、加湿器のセンサー付近に湿度計2台を置きます。ピンクの温湿度計(シチズン)と 白の温湿度計付き時計(シチズン)です。シチズン2台の仕様は同じなので、湿度センサーはたぶん同じものが入っているでしょう。これで2時間ほど放置しました。

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その結果がこれ。44%51%60%とずいぶん差があります。どれが正しいのやら…。

ダイニチ加湿器は設定どおりの60%を表示しています。この湿度センサーを基準に制御しているのでしょうから、当然こうなるはずです。

ピンクの温湿度計は44%です。いつもは1階リビングの壁寄りに置いてあり、40%台前半を示していることが多いです。

白の温湿度計付き時計は51%という表示。これはいつも吹き抜けの2階で、1階のピンクより少し高い湿度を示しています。置き場所が違えば異なる湿度でも不思議はないと思っていましたが、同じ場所に置いてもこんな差が出るとは…。

ここでいう「湿度」とは、相対湿度(RH : Relative Humidity)のこと。1$${m^3}$$の空気中に含むことのできる最大の水蒸気量(飽和水蒸気量:$${g/m^3}$$)と比較した水蒸気量の割合が相対湿度(%RH)です。飽和水蒸気量は温度によって変わり、相対湿度は温度が下がると高くなります。

ピンクと白の温湿度計は、表示温度も 19.7 ℃ と 18.9 ℃と、0.8 ℃ の差がありますね。この温度差が湿度表示の違いに影響しているのかと念のため計算してみましたが、それだけではこんなに大きな差にはなりませんでした。

19.7 ℃ での飽和水蒸気量は 17.0 g/m3、18.9 ℃ では 16.2 g/m3
19.7 ℃ で湿度 44%なら、水蒸気量は 7.5g/m3
18.9 ℃ で湿度 51%なら、水蒸気量は 8.3g/m3

2台のシチズンは、温度の測定精度が「±1℃」、湿度の測定精度が「±3%RH 25℃、60%RHにおいて」となっていますが、実際の誤差はもっと大きいようです。「温度・湿度センサーは経年劣化により精度が低下することがあります」。どっちも古いかならなぁ。「…目安としてご使用ください」。精度なんか期待しちゃいけない、という意味なのでしょう。

ダイニチの加湿器は湿度センサーの細かい仕様が記載されていません。表示は1%刻みで、おそらくシチズンと同じ程度の精度でしょう。計測器といえるレベルではないものを比較しても しょうがないですね。

これまで使ってきたパナソニックの加湿器は「湿度サイン」として10%刻みの5段階表示でした(30%以下、40%、50%、60%、70%以上)。1%の位は意味がないので、好感の持てる表示です。

厚生労働省のwebサイトでは、インフルエンザ予防の一つとして「適度な湿度の保持」があげられており、「湿度5060%を保つことも効果的」としています。44%、51%、60%などとバラついていたら目安にもできず、気休め程度か。のどや目の渇きなど、体感の方がまだ正確かも。

飛行機内の湿度

飛行機で「湿度」と言えば、ボーイング787。10年以上も前の登場ですが、機内の環境が大きく変わりました。

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▲ ボーイング787

客室内の湿度が20%程度になったのです。20%? 低っ!と思う数値ですが、それまでわずか数%しかなかった湿度を大きく上げることができました。機体に炭素繊維複合材を多用して金属素材を減らしたことで低温の高高度を飛行しても結露が少なく、腐食を防ぎやすいからでしょう。ANAの当時の説明では「水滴落下防止装置を装着しているため、十数%台の加湿が可能に。お肌のカサカサ感も緩和。」となっていました。そういう理由なの?

他の機種と比べて快適だよ、と友人は言っていました。「…空気中の湿度が10%以上高くなるため、長時間のフライトの後でも乗客は体の休まりを感じ、脱水症状が軽減されます」(787 Dreamliner の資料を翻訳)。残念ながら私は地上でしか787に入ったことがなく、上空でも快適なキャビンを未だに体感していません。

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▲ 787のECS付近

ボーイング787では、客室への空気の取り込み方も変わりました。以前のようにブリードエア(抽気)という、エンジンで圧縮された新鮮な空気を与圧や空調に使うのではなく、主翼の付け根付近の胴体から別に取り込み、電動コンプレッサーで圧縮しています。エンジンの負担が減るので燃費が向上するそうです。ECS(Environmental Control System)は、冒頭の写真のように左右に2系統あります。何処にどんな「加湿器」が入っているんだろう?


※ 特記のない写真は、やぶ悟空撮影

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