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ビジュアルアプローチ、新千歳19L
滑走路に近づいてトラフィックパターンに入り、間近を低高度で旋回してくれるビジュアルアプローチ。いつも、それを狙う機会をうかがっています。Visual Approach すなわち 視認進入 では、通常の経路を大幅にショートカットして着陸することができます。
私の見立てでは、新千歳空港でビジュアルアプローチの可能性が高くなるのは、自衛隊機が飛行しない土日祝日などで、南風運用(滑走路19L着陸)のときです。そして大事なのが天気が良い(雲の高さと地上視程)こと。
2月のある土曜日、新千歳空港はそんな一日でした。しばらく着陸機が途絶えた午後、ANA61を先頭に、SKY771とSKY711、そしてANA289が連なって新千歳を目指しています。着陸順位Nr.1のANA61から “Request visual approach” の無線が入りました。よしっ! 千歳アプローチはパイロットに Airport in sightを確認した上で “Report Hayakita” を指示しました。
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赤いANA61が見えますね。この機がビジュアルアプローチで滑走路19Lに進入している ボーイング767-300ER(JA611A)です。
Nr.2のSKY771は19LへのILS進入で、ショートパターンにレーダー誘導されています。それに続くNr.3のSKY711も ILS Z RWY19L進入。レーダーベクターでウェイポイントYUNEYに向かっています。で、Nr.4がANA289。
ビジュアルアプローチとは無関係ですが、このとき “SKY771”と “SKY711”という類似コールサインの2機が、同一周波数の下で同時に存在していました。管制官とパイロットの言い間違い/聞き間違いが起こりやすいこの状況に少々緊張します。類似コールサインが要因のひとつになった航空重大インシデントが、2009年3月に大阪国際空港で発生したことがあるからです(それ以降、さまざまな再発防止策が取られています)。
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ビジュアルアプローチのANA61便が、19Lのダウンウィンド・レグに入ってきました。先行機はなく、早来上空からショートカットして滑走路19Lのダウンウィンドに向かい、トラフィックパターン(場周経路)を回って着陸します。
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ダウンウィンドからベースへのターンは、低高度で背中が見られる貴重なチャンス。背中はとても魅力的!
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ベース・レグからファイナルへ。滑走路19Lにアラインします。
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19Lのファイナルに入ったANA61便の向こうに、YUNEYへと北上するNr.3のSKY711便(だ円内)を見つけました。
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前掲の図を拡大したもの。滑走路の横約2nm(海里)の幅でダウンウィンドを飛行しています。東千歳駐屯地の上空で左旋回して19Lに着陸しました。空港の南に見えるADO20は、滑走路19Rからの離陸機です。
さて1時間半前、この日の午前にはANA703が同じくビジュアルアプローチで19Lに着陸していたので、その航跡も一部書き加えておきました。ビジュアルアプローチでは、パイロットは基本的に任意の経路を飛行できますが、通常はトラフィックパターンに入ります。
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ダウンウィンドのボーイング787。雪のグラウンドから。
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新千歳空港に到着する便は、大部分が南側から飛行してきます。そのため、南風で使用滑走路が19R/Lのときは、いったん空港の北側へ回り込んで着陸しなければなりません。いくつかの標準的な到着経路と進入方式で飛行すると、かなり遠回りになるので時間がかかり、その分 燃料も消費します。
気象やトラフィックなど条件がうまく揃ったときは、ビジュアルアプローチをうまく利用することで効率の良い管制処理に寄与できそうです。少しでも早く到着した方が乗客にも喜ばれるでしょうしね。
場周経路を低い高度で飛行してくれるビジュアルアプローチは、天気が良く大気が引き締まった冬の飛行機撮影にもありがたいのですが、一日粘ってもわずか数本、場合によっては空振りもあります。そんなリスクを考慮しつつ撮影ポイントを選ばなければ。
最後に、夏のビジュアルアプローチ・シーンも載せておきます。
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視認進入(Visual Approach)は、ターミナルレーダー管制が行われている空港で実施される進入方法の一種です。パイロットからアプローチ管制官にリクエストする場合だけでなく、管制官からパイロットに視認進入を受け入れるか確認することもあります。IFR(計器飛行方式)を維持したまま飛行し、レーダーで常時監視されていますが、パイロットの責任や負担が大きくなります。
これと言葉が類似していますが、通常 レーダーのない空港で行われる目視進入(Contact Approach)とは異なります。
※ 特記のない写真は、2022年2月、やぶ悟空撮影