3日後に廃止される札幌ACC。その後は…
札幌航空交通管制部のことを「札幌ACC」と言いますが、この組織が9月いっぱいで廃止されます。(国土交通省 報道発表、令和6年9月24日)
東北北部(おおむね北緯39度から北)と 北海道周辺の航空路管制を担ってきた国の組織が「札幌航空交通管制部」です。58年前の1966年、当時の航空交通管制本部を3分割する形で航空交通管制部(札幌、東京、福岡)が設置されました(運輸省設置法の一部を改正する法律、昭和41年5月20日)。その8年後に那覇航空交通管制部が加わって4管制部となり、その体制で長く日本の空の管制業務を担ってきたのです。
国土地理院が2020年秋に空から撮影した札幌市の写真。札幌ACCは丘珠空港にも近い、この場所にあります。
AIP を見ると、9月には札幌ACCが載っていますが…
10月発効分からは消えていました。
日本語ではこうなっています。英語にはないけど「3つ」になると明記。
WIKIMEDIA COMMONS に「札幌航空交通管制部(Sapporo Air Traffic Control Center) - panoramio.jpg」という、2010年に撮影された写真ファイルが見つかったので(少しトリミングして)使わせていただきました。
こうして見ると、なんか小ぢんまりしていますね。でもこの部屋が、我が国の航空路管制を担う四天王(4管制部)の一角で、心臓部と言えるのでしょう。
管制官が見ているのは、レーダーが捕捉したターゲットをコンピューター処理したレーダー画面です。
こんなものが見つかりました。かなり古いテレホンカードです。
「新管制卓運用開始記念 平成5年11月30日」と印刷されていますから、31年前(1993年)ですね。そのころに撮影された、実際のレーダー表示の一部です。「新」管制卓とはいっても、まだ カラー表示にはなっていませんでした。
複数のレーダーサイトが捉えた航空機を、平面上に見やすく映し出す表示装置なので、PVDという名前が付いていました。Plan View Display の略なのですが、飛行機を見るんだから Plane View...という誤解も…。ま、それでもいいか。
旭川付近に「JAS125」を見つけました。1991年の時刻表では、東京13:20発 旭川14:55着の 日本エアシステム125便。そのMD-81型機が、指示高度FL220に降下中だったようです。他にも函館付近に「ANK」のタグが見えたりと、懐かしい航空会社名が映っています。
冒頭の画像も、このテレカの写真に 道内にある2つのレーダーサイトを書き加えたものです。
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さて、札幌ACCが廃止されると、丘珠空港の近くにある建物などはどうなるのかな?
札幌ACC区域内には4つの進入管制区(札幌、千歳、三沢および函館)がありましたが、ことし2024年4月には 日高と 白神の2つの進入管制区が新たに加わりました。
日高および白神の進入管制区では、複数の空港にわたる広域のターミナル・レーダー管制業務が行われています。その管制所として、札幌ACCの庁舎に「新千歳空港事務所 札幌分室」が この4月に発足しました。
新千歳空港事務所の「分室」という位置づけで、いつの間にか札幌ACC内に設置されていたとは! このように、札幌の庁舎は「日高」と「白神」の広域ターミナル・レーダー管制業務のために、今後も使われ続けることになるようです。北海道新聞の記事(2024年9月24日付)によれば、ターミナル・レーダー管制業務には「管制官ら約60人が常駐している。」とのこと。
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さらに、空域の新情報。
上の図をもう一度ご覧いただきましょう。自衛隊の管制官が 赤(航空自衛隊)と ピンク(陸上自衛隊)の、そして航空局の管制官が 青と空色の進入管制区を受け持っています。「函館進入管制区」と「白神進入管制区」は隣り同士で共に航空局の管轄ですから、来年早々には統合して 白神進入管制区のエリアが拡がりそうです。
そうなると、函館空港の管制官が少し減らされて新千歳(事)札幌分室にまわされるのかもしれません。これが再編の最終形態なのかな?
※ 特記のない写真は、やぶ悟空撮影
※ 札幌ACCに関連する、他の やぶ悟空記事 はこちらから。
2024年8月10日 「秋には消える、札幌ACCセクター」
2024年6月15日 「札幌ACCの空域削減」
2024年4月13日 「北日本広域ターミナル、始まる!」
2024年3月23日 「札幌ACCセクター変更」
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