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ワム? WAMめぐり

前回は、すでに航空路WAM が4つのエリアで運用されていること、そのうちの「南北海道/北東北エリア」には 19の「航空路WAM施設」があることを知りました。

Wide Area Multilateration を略して「WAMワム」ですが、航空路を飛行する航空機の監視システムに組み込まれるものは「航空路WAM」ともいうようです。

「マルチラテレーション」や その略で「MLAT」という聞き慣れない言葉が出回り始めたころは、飛行場面(地上の航空機など)の監視に有効な新たな装置、というイメージを持っていました。その仕組みを利用して飛行場周辺の航空機も監視できるようにしたものを「広域マルチラテレーション」すなわち「WAM」というらしい…という理解。そのエリアをさらに拡大し、航空路空域の監視にも利用できるようにしたものが「航空路WAM」なんだろう…という今の認識です。

それが正しいのかどうか分かりませんので、マユツバでお読みください。


▲ 南北海道/北東北エリアの航空路WAM(地理院地図Vector に加筆)

水色で塗りつぶした空域が、AIPで「南北海道/北東北 WAM」のカバレージとされている部分です。このエリアをカバーする「航空路WAM施設」を丸印で書き加えました。青森県内は局数が多く、密集している部分もあります。それに比べて道内は適度に離れた6局だけです。

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苫小牧とまこまいにも WAM局があるのなら、天気もいいし ちょっと自転車で見に行こうっと。


▲ 苫小牧市街と WAM局

市役所の最上階、展望回廊から見た苫小牧市街です。NTT東日本の鉄塔があるので、WAMアンテナはたぶんソコでしょう。近寄ってみます。

▲ 苫小牧の WAMアンテナ

近くから見上げると、鉄塔のセンター最上部に 避雷針と並んで白いアンテナが良く見えました。鵡川むかわVOR/DME局で見かけたアンテナに とてもよく似ています。これが WAMのアンテナに違いない。


▲ むかわの WAMアンテナ

その鵡川むかわVOR/DMEの敷地内に WAMアンテナが立ったのは4年前のこと。たまたま通りがかった道路から、白いアンテナがよく見えていました。珍しいと思ってフェンス近くから見上げると、「広域マルチラテレーション装置」という銘板が目に入りました。(その詳細は次回に…)


▲ 室蘭の WAMアンテナ

1年に何度かは出向く室蘭むろらんは、高速道路を使わなくても1時間半の距離。着いた空は曇っていましたが、苫小牧と同じように NTT鉄塔上の一等地を間借りしていました。


▲ 函館の WAMアンテナ

こちらは3年半前の函館空港。対空通信の送信鉄塔上に立っていた白いアンテナが 航空路WAM のものでしょう。

私の目で確認したのは、道内にある6局中これらの4局だけ。横津岳は仮設レーダー工事のため 当時は立ち入り禁止になっていて、せっかく函館空港まで行ったのに山に登ることはできませんでした。


▲ 札幌の WAMアンテナ(Googleストリートビュー に加筆)

道内の残り1か所は、札幌管制部(ACC)の WAM。札幌にはしばらく行っていないし、行っても札幌ACCの建物を撮影することはないので、自前の写真はありません。でも、Googleストリートビューでも見えていました。アンテナ鉄塔上ではなく、庁舎屋上に設置されているようです。


▲ 八戸の WAMアンテナ(Googleストリートビュー に加筆)

東北からは、1か所だけ紹介します。八戸レーダーの隣りにある 八戸RCAGアンテナ鉄塔の上段です。ここに行ったことはないけど、Googleストリートビューで。


WAMアンテナの写真ばかり見てもつまらないので、次回は少し技術的なことも知りたいな。それじゃ、もっとつまらないかも…。


(略語)
ACC : Area Control Center、航空交通管制部
AIP : Aeronautical Information Publication、航空路誌
DME : Distance Measuring Equipment、距離測定装置
MLAT : Multi Lateration、マルチ・ラテレーション
NTT : Nippon Telegraph and Telephone Corporation、日本電信電話株式会社
RCAG : Remote Center Air Ground、遠隔対空通信施設
VOR : VHF Omni-directional Radio Range、超短波全方向式無線標識施設
WAM : Wide Area Multilateration、広域マルチラテレーション


※ 特記のない写真は、やぶ悟空撮影



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