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空自の飛行点検機、ラティテュ-ド

8月下旬のある日、久しぶりの青空を期待して最寄り空港方面へとアクセルを踏みました。さて、トラフィックはどうかな…と flightradar24 で確認すると、「TRIER33」という双発ジェットが飛行しています。


▲ Citation Latitude

カッコイイこの機体は、サイテーション・ラティテュ-ド(Model 680A)。自衛隊では U-680A と名付けており、「TRIER33」は航空自衛隊が運用する飛行点検機のコールサインです。この日は千歳飛行場の滑走路36Rに進入を繰り返していました。 …ってことは、ILS(計器着陸装置)の定期検査かも。


▲ 航空自衛隊 U-680A、12-3033

機体記号「12-3033」から調べると、日本に来る前は「LN-TAI」という登録記号でノルウェー国籍(LN)だったことが分かりました。そしてその前が、この航空機を製造したアメリカ(N)の「N869QT」でした。

Serial Number : 680A0210
Manufacturer Name : TEXTRON AVIATION INC
Model : 680A
Year Manufacturer : 2019
Engine Manufacturer : P&W CANADA
Engine Model : PW306D1

FAA Registry, “N869QT” より

2019年に製造されたこの Citation Latitude (680A) は「N869QT」としてアメリカで登録されましたが、ノルウェーに輸出するため 2020年2月下旬に登録が抹消されていました。ノルウェーでは「LN-TAI」として登録され、翌2021年の1月下旬に日本へと飛来し、航空自衛隊入間基地に納入されたのです。


▲ 飛行点検装置を装備した空自の U-680A、12-3033

どうしてノルウェー?と不思議に思いますが、ノルウェーの会社で「UNIFIS 3000」という飛行点検用の装備を施すためです。

NSM (Norwegian Special Mission) は、日本の航空自衛隊用の Citation Latitude 3機に 飛行検査システム UNIFIS 3000 を実装する契約を Textron Aviation と結び、その作業はノルウェーの NSM施設において Sundt Air AS が実施する。(PRESS RELEASE, 2018/1/26, Norwegian Special Mission)

こんなプレス発表が出ていました。NSM って何だろ?

NSMは(中略)100%ノルウェー人所有者の非公開有限会社であり、(中略)飛行検査および空中監視のための(中略)特殊航空ミッション ソリューションを開発しています。

About NSM, Google翻訳


ちなみに日本の航空局では、飛行検査機のうち1機に Citation Longitudeサイテーション ロンギテュード(Model 700)を使用しており、その飛行検査装置は同じくノルウェーの UNIFIS 3000-G2 を搭載しています。登録記号は JA701G、2022年6月に導入されています。

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空自が Latitude(緯度)で、航空局が Longitude(経度)なんだね。不思議な名付けのサイテーション。辞書を引くと、「latitude」には「緯度」の他に「自由、余裕、許容範囲」などの意味もあったけど…


▲ U-680A(033)の飛行航跡(flightradar24アプリ)

この日、民間機の着陸は新千歳空港の滑走路01R、離陸は01Lです。千歳飛行場の滑走路36Rへの進入検査に特段の支障はなさそうです。

でも、

▲ 同じ滑走路36Rを使用する F-15戦闘機

F-15が離着陸するときは、TRIER33 が苫小牧の海上で待機していました。


▲ 滑走路36Rへの進入、オンコース


※ 写真はすべて、やぶ悟空撮影

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