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渦とV字編隊

7月の雨上がり。撮影した飛行機の写真に、うっすらと空気の渦が写っていました。

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このボーイング787の最終進入、あらためて前後の写真もよく確認してみると…

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小さな強い渦が現れて少しのあいだ残っていたようです。いや、渦は常に発生しているのでしょうが、見えたのは湿度などの影響かもしれません。

この渦は、どこから発生したのかな?

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着陸のためにダウンしたフラップ、その外側エッジが発生源でした。巡航中のようにボディがクリーンな状態では渦の発生を最小限に抑えるよう設計されているのでしょうが、離着陸時には脚を出し、フラップやスラットなど高揚力装置を使用しながら低速で飛行するので、渦が出やすいのでしょう。

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航空機が発生させる渦は後方乱気流といわれ、後ろを飛行する航空機に悪影響を与えることがあります。渦は、航空機の重量が重いほど、飛行速度が遅いほど、強くなります。渦は時間が経つと下降して減衰し消滅しますが、風に流されて横にも移動するので、地上では隣りの滑走路にいても注意が必要です。

後方乱気流に遭遇することを避けるため、同じ経路を飛行する場合や飛行経路が交差するような場合は、定められた間隔を空けることになっています。

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事故を引き起こすこともあるこの渦ですが、悪いことばかりでもありません。

大きめの渡り鳥は、スタミナの消耗を抑えるためエネルギーを節約する巧みな飛行技術を使っていることが分かっています。渡りの季節になると見かける、V字編隊飛行です。

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先行する鳥の羽ばたきで翼端に生じる空気の渦。その渦の外側に生じる上向きの気流(upwash)に入るように飛行する、というのです。なるほど、賢い! と単純に思ったのですが、実験の結果を示した nature を眺めると、その飛行はとても難しいことなのだと気付かされました。

●日本語:鳥のV字編隊飛行は、やはり合理的だった!
natureダイジェスト Vol. 11 No. 3
●英語:Upwash exploitation and downwash avoidance by flap phasing in ibis formation flight
nature (Published: 15 January 2014)

当然ながら鳥は飛行機と違って羽ばたいているため、発生する渦の位置が周期的に上下に変化します。上向きの気流に乗り続けるには、前を飛行する鳥との関係位置と羽ばたきのタイミングを正確に合わせ続けなければなりません。これぞフォーメーションフライト、すごすぎるっ!!

先頭が疲れたら交代とか、たまには左右も代わった方が良さそう、など想像が膨らみますが、吹き下ろし(downwash)が強い真後ろに着く場合などもあるようで、よく分かっていない部分も。

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この話とは別ですが、昆虫の翼を真似て敢えてごく小さな渦を発生させる…などの研究も進んでいるようです。「渦」って、おもしろいカモ。

飛ぶことに関しては大先輩の鳥や昆虫たちにはとてもかなわないね。

※ 写真はすべて、2021年3月 または 7月、やぶ悟空撮影


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