千歳管制圏と 千歳特別管制区(その1)
お隣り同士で くっついてる「千歳飛行場」と「新千歳空港」のはなし。
いきなり、こむずかしい図からでお許しを…。
この画像は、AIPに掲載されている 新千歳空港(NEW CHITOSE, RJCC)の情報の1ページ。千歳飛行場(CHITOSE, RJCJ)もこの内容は同じです。
ここに示した「千歳特別管制区」の図は、複雑でとても理解しにくいと以前から思っていました。飛行場の標点(ARP)が2か所あるので、管制圏が単純な円筒形ではないこと。高度で細かく分かれているうえ複雑に入り組んでいて、飛び地(空域)らしきものまで見えること。そして、図の左が北になっていることなど(他にも気になることはあるけど…)、この空域の全体像をイメージできないのです。でも、いつかじっくり考えてみたいと思っていました。
この秋の雨の日に、それを少し考え始めることにします。
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AIPの図を見ると、特別管制区(PCA)設定の基準になるのが3点あることに気付きます。一つは千歳タカン(ZYT)、あとの二つは 千歳飛行場(RJCJ)と新千歳空港(RJCC)それぞれの標点(ARP)です。
タカン(TACAN)というのは航空保安無線施設の一種で、“ZYT” は識別符号(ID)です。主として軍用機向けに、方位と距離の情報を含む電波を送信します。また、標点というのは 飛行場の基準点で、空域などを設定する基準としても使われます。
2つは別の飛行場なのですが、航空管制は1か所で行っています。古くからあるのは千歳飛行場。防衛省が設置管理する航空自衛隊の飛行場ですが、実は「共用空港」でもあります。新千歳空港ができるまでは民間航空機もこの滑走路を共用で使っていましたから。
その後、民間航空機専用の新千歳空港が隣接地に開港し、滑走路が新たに2本設けられました。それでも千歳飛行場は、今も「共用空港」に変わりありません。(空港法附則第2条第1項)
さて、管制圏って何でしょう? 正しくは「航空交通管制圏」ですが、この記事では単に「管制圏」とします。ICAOの略語では「CTR」(Control Zone)なのですが、「CTZ」としている資料もよく見かけます。
航空局の用語集では、「航空交通管制圏とは、航空交通の安全のために国土交通大臣が指定される航空機の離着陸が頻繁に実施される空港等付近の上空の空域。空域内を飛行する航空機に対し、主として飛行場管制業務が提供される。」となっています。「…指定される…」じゃなくて「…指定する…」の誤りだろうと思いますが、細かいことはともかく、その「指定」内容を見てみなければ…。「航空交通管制区、航空交通管制圏等の指定に関する告示」です。
その告示では、「千歳飛行場」と「新千歳空港」、両方併せて一つの「千歳管制圏」が指定されていました。
管制圏は、「標点を中心とする半径9kmの円内の区域の直上空域」として設定されます。その上限は、千歳飛行場が「高度1,850m以下」、新千歳空港が「高度900m以下」となっています。9kmとか、1,850mとか、900mとか、何でそんな中途半端な数字…って思うのですが、基になるのがそれぞれ 5nm、6,000ft、3,000ft となっているからでしょう。
千歳の管制圏は、2つのARPが近いので高さの異なる円柱が少しずれて重なったカタチになっています。赤と青で描いていますが別々ではなく「千歳管制圏」としてひとかたまりになっています。
次の「千歳特別管制区」を理解するためには、この「千歳管制圏」を把握しておかなければならないのです。
国土地理院の地理院地図に「千歳管制圏」と「千歳特別管制区」を書き加えました。この図には、まだ高度の情報がありませんが…
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さて、この続きは次回に。
※ 写真は、2024年9月、やぶ悟空撮影
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