「シカの横断歩道」リニューアル
新千歳空港の近くにある「エゾシカの横断歩道」。この夏、路面の舗装工事が終わってきれいになりました。Googleマップにも載っているその場所は…
▲ 「エゾシカの横断歩道」(Googleマップに加筆)
苫小牧から札幌方面に向かって国道36号を北上していくと、シカの絵とともに「鹿横断箇所・衝突注意」の標識が現れます。
▲ 「エゾシカの横断歩道」の場所(2020年8月撮影)
ほぼ直線で片側2車線の幹線国道です。スピードが出がちな場所なので、すぐ近くにオービスが設置されています。交通量が多く、マーキングは写真のように黄色のペイントが薄くなって、まさに横断歩道のゼブラのようになっていました。
▲ 「シカの横断歩道」(国土地理院の空中写真に加筆、2011年10月撮影)
国道を横断する黄色いペイントは2か所にありますが、今回リニューアルされたのは工事区間の都合上、北側だけ。
上空からの写真で分かるように、「横断歩道」の辺りに民家や学校などはありません。だから人が横断するためのマーキングでないことは明らか。
撮影場所から西側に、新千歳空港の滑走路南端付近につながる道のようなものが見えます。現在は使われていないらしく、しっかりしたゲートの奥は木々が倒れたままの廃道状態です。売地の看板がある…ということは私有地で、勝手に立ち入ることはできません。そして国道の東側には、美々川が自然な流れで曲がりくねっています。多くの動物たちが、この国道のどこかを毎日のように横断しているのでしょう。
▲ 新旧比較
横断箇所は、舗装路面とともにこんなにきれいになりました。
▲ シカの通路?
渡り切ったところには、獣道のような通路らしきものが見えます。
▲ 道を渡るには…
シカの目線で見ると、こんな感じなのでしょう。
▲ エゾシカ衝突注意マップ(室蘭開発建設部のパンフレットから抜粋・加筆編集)
このパンフによれば、9月~12月の秋に事故が多く、中でも10月と11月は特に多い月です。これからのシーズンは要注意!
「シカの横断歩道」は、シカが道路を渡りやすいよう設置されているわけではなく、ドライバーに注意を喚起するためのマーキングなのでしょう。
▲ 王子製紙の苫小牧工場で(2020年8月撮影)
ここ数年、エゾシカだけでなく、ヒグマの道路横断・出没情報も目立ちます。昨年9月には、私自身、道南で車の直前にヒグマの親子と遭遇したことがあります。今年も、わが家の近くの散歩コースでヒグマ目撃情報が複数あり、森に入るのを少しためらっています。
人や家畜を襲ったヒグマはもはや駆除せざるを得ませんが、この先、北海道の野生と上手く共生していくには、先住動物たちのテリトリーを侵しながら生活圏を拡げてきた、ヒトの側にも謙虚さや動物たちへの心遣いが必要なのかもしれません。「エゾシカの横断歩道」は、そんな心遣いの一つなのでしょうか?
※ 特記のない写真はすべて、2020年8月または2021年9月、やぶ悟空撮影