ガルフストリーム、2機
8月下旬の新千歳空港。怪しげな積乱雲を背後に進入してきたのは、双発のビジネスジェット機。
登録記号は「VP-CLH」。ガルフストリームの G650ER という最新モデルです。
「ER」は Extended Range のことで、搭載できる燃料を増やして航続距離を延ばしたタイプなのだと。G650ER は 地球一周の最短記録のほか、さまざまな最短時間記録を作ったそうです。
この VP-CLH は、2017年製造の機体です。シンガポールをベースにチャーター運航されているという情報がありました(Jet Aviation)。flightradar24 でこの日の飛行航跡をさかのぼってみると、香港国際空港から飛んで来たことが分かりました。エグゼクティブのお仕事かな? それとも大金持ち家族の北海道旅行でしょうか?
-+-+-+-
実は、ほんの20分ほど前にも新千歳空港にガルフストリーム機が到着していました。
こちらは G550 という機体です。前述の G650が出るまでは、ガルフストリームの最上位モデルでした。大きく翼を広げた、カッコイイ姿。
こちらの登録記号は「VP-CAE」。2005年の製造ですから、18年経ってます。この機もチャーター運航でしょう(TAG Aviation Asia)。
-+-+-+-
どちらのガルフストリーム機も、VP-Cxx という登録記号であることにお気づきでしょうか? 日本の登録機は JAxxxx、アメリカなら Nxxxxx など、頭のアルファベットを見ると国籍が分かるのですが、VP-C って、どこの国?
それは、ケイマン諸島(Cayman Islands)。カリブ海にある3つの島からなるイギリスの海外領土で、自治権を持っているそうです。タックスヘイブン(租税回避地)として知られていて、プライベートジェット機の登録をケイマン諸島にするオーナーも多いようです。
ケイマン諸島の民間航空局(Civil Aviation Authority of the Cayman Islands)のwebサイトにある「Active Aircraft Register」から、新千歳に飛来した2機を見つけることができます。VP-CLH(G650ER)は 2018年05月14日に、VP-CAE(G550)は 2019年12月31日に、ケイマン諸島で登録されていました。
節税や維持費の削減などコスト面のメリットが大きいことはもちろんでしょうが、イギリス領という信頼性の高さも、ケイマン諸島が選ばれる理由のひとつなのかもしれません。
-+-+-+-
万々が一、このさき 豪華ビジネスジェットに乗る機会がやってくるなら、どこへ行こうかなぁ…なんて夢見る夏の一日でした。
※ 写真はすべて、2023年8月、やぶ悟空撮影
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?