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白いセダンと ドライバー

コンビニから出てきた杖のおじいさん。古いベンツに近寄っていきます。おぼつかない足どりでドアを開けると 杖を助手席にポイッと放り投げ、左ハンドルの運転席によいしょと滑り込みました。連れの方は見当たりません。

このクルマ、酷く傷んでいて穴だらけのボロボロ。以前に初めて見かけたときは、えっ! と声が出るほど驚きました。この状態で走っていいの? 車検に通ってんの?

ベンツのマークは無くなっているけど、190イチキューマル だと分かりました。乗ったことはないけど、そのむかし好きだったから。


▲ メルセデス・ベンツ 190E W201型(トヨタ博物館 より)

色は違うけど、こんなクルマです。1982年に登場したベンツのコンパクトモデルで、日本の5ナンバー規格に収まるサイズでした(排気量も2000CC未満)。

写真の赤いセダンは1989年式。ボディ側面にプロテクトモール(サッコ・プレート)が付いていますが、白のベンツにはそれがないので前期型なのでしょう。ナンバーは「札幌52」と二桁、「YANASE」のステッカーも見えています。


▲ メルセデス・ベンツ 190E らしい

白い 190 のエンジンは、すぐにかかりました。でも音がひどい! ガソリン車か ディーゼル車かも分からないほどの爆音! たぶんマフラーには穴が空いてるだろうし、エンジンも快調そうには思えません。フロント下部の路面が濡れているのは、液漏れじゃなく 雨上がりの水たまりだと思いたい…。

いつごろから乗っているのか知る由もないけど、かなり長い付き合いとお見受けしました。所有者と気に入られたクルマがいっしょに歳月を重ねているようで、なんかイイ感じ。古い車でも小まめに整備し続けて綺麗に維持していくのが理想と思っていたけど、足代わりと割り切って最後まで使い切る、ってのもありかもね。

でも、そろそろ危ないんじゃないのかなぁ。車も 運転も…。


▲ たそがれ苫小牧


※ 特記のない写真は、やぶ悟空撮影

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