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300人の組織になる前に人事責任者が意識してきた4つのこと

SmartHRでVPoHRをしている薮田(@yabucccchi)です。

早いものでSmarHRの従業員数が300人を超えました。(2021.1.29現在) 
今回は、私が入社した当初の60人のときに、300人を意識してどんなことをやってきたのか?という話を書きたいと思います。

ありがたいことに、スタートアップの人事責任者の方や経営者の方から人事施策についてヒヤリングを受けたり、相談されることがあります。今回の記事がこれからスタートアップに転職する人事のみなさま、1人目や2人目の人事を採用しようとしている経営者のみなさまの少しでも参考になればと。

初期フェーズの人事組織の体制

私が入社したのは、2018年秋。従業員数は約60人。グレイナーの成長モデルでいう、第1期が終わろうとしている頃でした

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※参考:グレイナーの成長モデル

この頃、社長の宮田からの権限委譲はかなり進んでいたので、第1期、第2期の危機は乗り越えられていた印象です。また、オープンな社風ということもあり、CxOへの権限委譲だけではなく、従業員全員が自律して動けている組織でした。一方で人事組織はこれから作っていくというタイミング。私はそのタイミングで入社させていただきました。

人事組織の進化ステップ
スタートアップにおける人事体制もグレイナーモデルと同様に進化のステップがあると考えています。1000人になるまでは、第1期(創業ステージ)、第2-3期(形成ステージ)、第4期(拡大分担ステージ)のステージくらいでわかれていて人事メンバーの役割、人数、体制も変わっていく方が良いと考えています。

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創業ステージは、人事1名か2名で経営陣との協働で採用も、採用以外の人事領域も飛び越えてなんでもやるという時期。とにかくフットワークが軽く、創業者と価値観が近く、スピード感のある方がいると良いと思います。
形成ステージの頃からは、人事責任者を置き、採用活動を主として、採用以外の人事施策も初めていく時期。この時期にどんな人事を採用すればいいのか悩まれる方が多いです。また、何をやってもらうのかイメージがつかないという方もいます。このあとの章では、私がどんなことをやってきたのかをご紹介するので、参考にしてみてください。

100人になる前に意識したこと

100人〜300人の組織を見越し、私が入社時に意識したことは以下の4つです。

 1.【現場を知る】組織の強みを見つける
 2.【採用】数字やプロセスを可視化し、チームで採用できるようにする
 3.【育成】自社にあったオンボーディングプログラムを作る
 4.【配置/育成】マネージャー不足への早期対応

では、もう少し具体的にご紹介します。


1.【現場を知る】組織の強みを見つける
私が、最初にやったことは、入社した当時60人の社員全員との1on1でした。1on1の前に簡単なアンケートを実施し、定量情報、定性情報の両面から、組織理解をすることから始めていきました。

また社員の中でもCxOやVPとは、定例会議があるなど比較的コミュニケーションが取れている方だったので、趣向を変えて、1on1ではなく鼎談形式で対話をしました。経営陣同志で思っていることを話せるいるのかがまだわからなかったので、第三者としての私を含めた3人の組み合わせを作りました。

一人一人と話していくことで共通点や違った点が見えてくるので、会社の輪郭のようなものが見えてきます。それを言葉や図にして可視化しておくと後々役立つかもしれません。

1人目、2人目の人事のみなさまはその会社の傾向を知る上で、100人〜200人くらいまでは、全従業員と話したことがある状態を作っておく方がその組織の強みや今後の課題が見えてくると思います。これをせず、あるべき象だけで施策をうつとスベってしまうかもしれません!

2.【採用】数字やプロセスを可視化し、チームで採用できるようにする

創業ステージから次のステージの会社に人事として入社を検討しているみなさんにお伝えしたいことがあります。この時期に最も大事なのは採用です。採用です!
制度、育成ももちろん大事です。人事募集の求人票には「制度設計などもお願いしたい。」と、書かれているかもしれませんが、とにかく採用が大事なので、それ以外のことができるのは人材採用がうまくできるようになった後だと思っていた方が期待値が揃う気がします。

採用において、まずやっておきたいのは、採用状況の可視化。応募数、通過率、内定率など、採用における数字の可視化。また、フローの整理です。自分たちが見たい数字をチェックできるATS(採用管理システム)があればそれで良いですし、どういったポジションを募集しているのかを全社員に見える状態にすることもおすすめします。ちなみにSmartHRではATSとして、Talentioを利用しています。

実際にやったことは、以下の2つ。

 ・採用管理表(Googleスプレッドシート)を作る。チームメンバーで共有できるような状態にする。

 ・募集しているポジションを毎週全社集会で全員に共有する。全社員に採用状況や欲しいポジションを共有する。

採用管理表は、その後メンバーによって、どんどん良い物にアップデートされています(参考:オープン社内報:数字でみる採用だより
人材採用するときは、自分よりすごいと思う人を採用すると会社がどんどん良くなるというのは本当ですね!

全社共有については、今では無かったのですが、社内では普通のことになっています。リファラルを促進したり、採用活動に現場の力は必須なので、数字で採用状況を伝え続けることで全社一丸となって採用活動ができる状況が作れるかもしれません。

可視化と並行してやったことは、採用担当者の採用。私は、採用担当者の人員数の指標として、中途採用の場合、年間20人の採用につき1人採用担当者がいないとキツいと思っています。この指標と採用計画を照らし合わせて採用担当者を集めると良いかもしれません。SmartHRの人事組織は、2019年1月時点で3人。2020年1月時点で7人でした。おかげさまで、2020年にはほぼ採用が予定通りに進むようになりました。2021年はさらにハードルが上がるのでがんばりたいです。

採用担当者が増えていくと、エージェント様との関係づくりもこまめにできるようになります。ちなみに、私はこういった初期フェーズでも採用エージェント様の協力は必須だと思います。「エージェントに頼らず採用できる方法はないか?」と、考えられる人事の方や経営者の方がいるかもしれません。資金の関係もありますが、ここはエージェントさんに頼りましょう。

SmartHRでは、定期的にエージェント様向けの説明会を開催したり、情報提供なども行っています。その他、オープン社内報でエージェント様への取組みを公開しているので参考にしてみてください。(参考:オープン社内報:いつも採用を支えてくれるエージェント様に、感謝をかたちにしてお伝えしました!

3.【育成】自社にあったオンボーディングプログラムを作る
採用の次に何が大切なのか?個人的にはオンボーディングかなと思っています。入社した方が能力を発揮できなかったり、辞めてしまうと穴の開いたザルのように人が抜けていってしまうので、まず最初にオンボーディングを充実させることから初めました。
オンボーディングの詳細については、オープン社内報で書かれているので、よろしければ参考にしてください。(参考:オープン社内報:年163名が入社しました。人事による新入社員受け入れ時の工夫を語らせてほしい

オンボーディングはwebサイトに訪問したときのLPのようなものであり、アプリ立ち上げたときの初めのガイドのようなものだと思います。初期体験が大事!中途入社とはいえ、会社独自のルールなど検索してもわからないことがあったりします。たとえばslackの使い方なんかは顕著かなと思います。(参考:オープン社内報:新入社員の皆さんへお届けする、Slackの歩き方 #1 きほんの「き」)
右と左と前がわかるようにフォローに力を入れると、入社体験がよくなり、新入社員の早期適応につながるかもしれません。人材育成・開発の中でもまずは新入社員のオンボーディングから施策を進めることをおすすめします。

4.【配置/育成】マネージャー不足への早期対応
2018年60人ほどの組織だったときのマネジメントをする人の数は10人程。採用計画を考えると、確実に足らなくなります。マネジメントの適性人数には諸説ありますが、メンバー6人〜8人に対し1人かなと思います。

入社時にやったことは、組織階層の整理と、マネジメントをする人の決め方と役割整理です。

組織階層と名称
SmartHRでは一番大きな組織をグループと呼んでおり、グループをVPやマネージャーが管掌しています。新たなグループを作るときやVPやマネージャーを立てるときは、人事会議で議題にあがるようになっています。これは一度マネージャーになると、ミッションも中期的になってくるので中々変更ができないためです。
グループの中にユニットと呼んでいる「班」のようなチームを組めるようにしており、各ユニットごとにチーフという役割のリーダーをつけられるようにしています。ここで簡単にVP、マネージャー、チーフの役割の違いをご紹介します。

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大きなポイントとしては、チーフに給与の閲覧権限をつけていません。これは、ユニットは変わる組織であることを前提としているからです。チーフも同様に変わる可能性を前提としています。ユニットやチーフは選任するために、難しい公式な指標や審査はありません。現場のVPやマネージャー自由に決められるようにしています。

まずはマネジメントを実際に経験できる機会をつくることが大切だと思っているので、このような仕組みにしました。実際にチーフをやってからマネジメントを継続する方もいれば、エキスパートとしてプレイヤーになる方もいます。今では、マネジメントをする人が60人ほどおり、チーフからVPになった方もいます。

ただ、マネジメント不足への対処や組織設計は300人の組織を超えてくると形を変える必要があるとも思っています。新たな施策を打たないといけないフェーズになります。ここは今後の課題です。

300人までの道のりとこれから

こうした4つのことを意識し、直近1年間もこれらのことをチームでできるようにしていくことに注力しました。同じやり方ではなく、常にカイゼンをしなくてはならないので、【現場を知る】ということをやり続ける必要があります。常に現場を知るために以下のようなことを継続的にやっています。

【現場を知る施策】
 - 組織サーベイの実施
 - 入社1on1の継続 ※入社3ヶ月目の新入社員全員と面談をしていました。
 - 新任チーフの2ヶ月面談を実施する
 - ときおり、経営陣と鼎談や1on1をする

このように組織の状態を定量情報、定性情報の両面で常に把握し、採用、オンボードなど、最初にしたことを状況に合わせてカイゼンしていくこと。また、組織課題を一人で抱え込まず、周囲の人たちや時には全社員に共有し、課題に向き合う仲間を増やしておくことが大切だと思います。

こうやってみると、300人までにやってきたことはオーソドックスなことです。いざ、人事の立上げ期となると、目新しいこと、インパクトのある制度を作りたくなるかもしれません。キャッチーな施策を否定するわけではないのですが、一般的とされている仕組みを取り入れて愚直にやっていくことが正だったりします。スペシャルカードを求めたりしたくなるのですが、目の前で起こることに目を向けることが大事だと考えます。

1000人規模の組織を支える人事組織をこれから作りましょう!
グレイナーの成長モデルでも、スタートアップの人事体制の進化ステップから見ても、SmartHRは新たなフェーズに入ります。

2021年の採用目標は200人です!年末には500人の組織になるかもしれません!組織も人も進化していくので人事も個人としてもチームとして新たに進化していく必要があります。さらに事業が加速し1000人になる日もすぐに来るかもしれません。

人事体制はこれから作っていきます。将来的に起こるであろう課題の事前解決や、事業成長の起因となる組織作りを一緒に取り組んでいただける人事を募集しています!

今いる人事のメンバーや新しい人事の人たちに施策をどんどんお任せしていきたいと思っています。是非、みなさまの知見や経験をSmartHRの組織作りに活かしていただけるとありがたいです!


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