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読書「北の分水嶺を歩く」 工藤 英一著 山と渓谷社 後輩の夢を作る

1 本書
工藤さんが、北海道の襟裳岬から宗谷岬まで水平距離670km、南北に連なる山脈を歩き続けた記録であり、記録とは関係ない、仕事のこと、家族との生活のことも書かれています。ごく普通の人がやり遂げたこととして、生活が描かれていることで、会ったことない、工藤さんを身近に感じました。
ちなみに、南部の日高山脈は、日本でもっとも手つかずの自然が残っていると言われており、一度山に入ると里に降りたくとも、何日もかかります。

どうして、偉業とも言える、こんなことができたのか。工藤さんの経験、技術、マインドは言うまでもありません。加えて、雪の利用がポイントです。

 水の確保:冬の間に積もった雪は、春まで、
      場所によっては夏まで残ります。
      これを利用すれば、山の中で水
      が確保できます。
 難所の通過:藪や危険な場所が、雪で埋まれ
      ば容易に歩けます。危険が増す逆
      効果は、経験者ならあるていど
      察知/回避できます。

雪国ならではの素晴らしい記録、そこに住む工藤さんだからの発想です。

2 この本との出会い
書店で見て、買いました。私も仕事をしながら、遊びで登山を続けている一人。ここまでのことはできないですが、自分なりの目標に向かって続けたい気持ちを持ち上げてくれる本です。

3 後輩の夢を作る
本書を読み、さらに大きなことをやり遂げたのが、北大ワンダーフォーゲル部出身の野村良太さん。NHKが「白銀の大縦走~北海道分水嶺ルート670キロ」として、その記録を取材して放映しています。
工藤さんが、15回に分けて歩いた同等のルートを、野村さんは一回で歩きました。この本と、もう一冊、志水哲也さんの本を行動中、ずっと持ち続けて、山の中で読んでいたそうです。
工藤さんの活動とその著作が、後々に野村さんの夢に繋がりました。どこか遠くでなく、二人が住む北海道で。夢のような活動は遠くへいかなくても、近くにあるのです。

写真1:シアッシリ山に向かう 
道北のマイナーピーク、野村さんはここを通過している
我が家は峠まで車で入り、日帰りの山スキーで山頂往復
GW中だっだけど誰にも会わなかった
写真2: 本書の表紙(著者撮影)

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