PPP的関心【Park PFI について再・整理】
最近、お仕事で Park PFI 制度の活用や制度を視野に入れた将来方針の検討をする取り組みに関わる可能性が出始めてきました。
個人的な仕事としては"たまたま"なのですが、昨今の動きをみると市民生活を豊かにする公園の存在価値や利用価値を発揮させるための役割分担を再考する必然性が高まっていることは確かなようです【*東村山市が市内全ての公園管理を民間企業に(指定管理とPark PFI を組み合わせた)包括管理委託をして全面的に民間の力を用いた管理運営を目指すという以前の記事も例もそういったこと】。
そこで今回は、改めて基本的な事のおさらいを兼ねて、改めて Park PFI 制度について整理してみます( 制度についてはよく知っているよという読者の方は読み流していただければと思います(笑))。
PPPとPFI
PPPとPFIは" PPP & PFI では… ”といった具合に一括りに理解されていることが多い印象を受けますが、これまで何度か書いてきたように、そもそもPPPとは、「公共サービス提供や地域経済の再生など、何らかの政策目的を持つ事業が実施されるにあたり、官(地方自治体、国、公的機関等)と 民(民間企業、 NPO、市民等)が目的決定、施設建設・所有,事業運営、資金調達など何らかの役割を分担して行うこと」(東洋大学 PPP研究センター)という考え方を示したものです。一方でPFI はPPPという公共サービス提供における官民間の役割分担を考える際に、公共施設整備とその運営に関して「 PFI 法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)」で定めたもので、つまりはPPP とPFI は「PFI ⊆ PPP 」という関係にあります。
PFIとPark PFI(公募設置管理者制度)
先ほど PFI は PPP 的な取り組み全般の中で公共施設等の整備と運営に関するルールを示す PFI 法に基づくものだと書きました。
都市公園も広い意味で「( 行政が整備する)公共施設」と考えると Park PFI 制度も PFI 法に基づくもの(またはその一部)だと理解しそうですが、実は違います。
Park PFI(公募設置管理者制度)と言われる制度は、「都市公園法」の改正( 平成29年 )により新たに設けられたものです。
ちなみに、「都市公園法」は都市公園の設置及び管理に関する基準が示されたもので、公園整備とその運営による公共の福祉の増進(市民生活の利便性や豊かさ向上)についてはこの法を根拠に進められるわけです。
地域社会にとって重要な公的施設である都市公園の利活用の更新による公園及び周辺地域の効用向上は、根拠法の違いはあれど都市施設の整備と運営という観点で PFI 的なものとして「Park PFI 」と称されたのではないかと想像します。*以下も参考に。
そもそも都市公園の利活用の更新の背景
都市公園の利活用の更新とそれによる効用の向上の背景には、新たな都市的課題の発生があります。少子化や高齢化に伴う人口減少や世帯構造の変化、財政の悪化、社会資本の老朽化の進展・顕在化などによる対処すべき問題・課題は増大しかつ多様化しています。
そうした変化に対して従来的な行政依存型の公的サービス提供手法だけでは施策の実施スピードや効果範囲において十分とはいえない状況が発生しかねません。そこをどう変えてゆくかという問いへの一つの答えとしてPPP的な考えの普及、PFI 手法が導入されました。そのような背景の中で、公園施設の活用や維持管理についても民間の知恵と資金を導入して施設と周辺環境・インフラ整備を通じ、持続的なまちの維持管理体制の実現に貢献するための制度設計が求められたわけです。
H29年改正のポイント。都市公園における従来のハードル
元々、都市公園内の飲食店、売店等の設置(設置管理許可)は可能でした。しかし、その許可期間が短いことで民間企業にとって投資回収期間が不十分であったこと、公園内に施設を設ける際の建ペイ率規定による制約があったこと、占用できる物件(建築物)が限定されていたことなどから、公園内のサービス提供も利便性や魅力も乏しいものになりがちであったため、整備した公園施設から市民に十分な効用をもたらすことができなかったわけです。
以上のような「ハードル」をクリアして、公園利用者の利便の向上に資する公募対象公園施設の設置と、当該施設から生ずる収益を活用してその周辺の園路、広場等の一般の公園利用者が利用できる環境を整え、地域の魅力向上に繋げることで先述の都市的課題の解消に役立てようとする試みがPark PFI制度というわけです。
制度の融合と進化。Park PFI と都市公園リノベーション協定制度
Park PFI 制度自体の進化というわけではないですが、個別の都市公園とその周辺の利活用の更新による整備促進と地域住民への公共の福祉増進に加え、都市の再生(=都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上)とそのための民間提案の機会提供、都市計画上の特例などを法の目的とする都市再生特別措置法の改正による「都市公園リノベーション協定制度」についても確認をしておきたいと思います。
二つの制度では、都市公園において設置管理許可を受ける民間事業者が得る特例(設置管理許可期間の特例 、建ぺい率の特例、占用物件の特例)は同じです。
違いは、Park PFI 制度における実施主体(民間事業者)は「公募」によって選ばれる事業者であるのに対し、都市再生特別措置法に基づく都市公園リノベーション協定制度では、都市再生整備計画の中で特定される(計画に対する意見、意見の審査という過程はありますが)こと、特定の対象となるのは都市公園における事業実績を有する一体型事業実施主体・都市再生推進法人となっている点が違います。
都市公園リノベーション協定では、Park PFI 制度に基づく個々の都市公園の利活用により地域への効果波及検討を起点にしているというより、都市公園をエリアの一要素と捉え(エリア全体への効果波及を考えた)まちづくりと一体となった都市公園整備を検討起点としている点に違いがあるということです。
都市公園がもたらすストック効果
都市公園のストック効果(整備された社会資本が機能することによって、整備直後から継続的に中長期にわたり得られる効果)については、冒頭に紹介したPPP的関心の以前の記事でも触れています。
地域の環境良化、安全確保、安心・健康・ゆとりの創造、観光誘致など産業振興機能を備える経済活動基盤、文化的活動拠点、教育の場の形成といったさまざまな効果を生み出すためには、都市公園という施設・拠点を「うまく使いこなされる」ことが必要だし、これからますます期待されます。
Park PFI 制度、都市公園リノベーション協定制度のいずれにしても都市公園の利活用の更新がストック効果をより大きく、より長期間に渡って創造することができるよう、具体的な場面に関わることができる際には、うまい使いこなし策の計画策定や実行支援に貢献したいと思います。
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