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貧乏ゆすり(日常診療)
何度も通って来るおばあさん。
よく話される方なのである。
泌尿器科の事だけを要領よく話してくれればいいのであるが、いきなり
「先生、右膝の痛みがとれないんだけど・・」
「ここは泌尿器科です。膝の痛みは整形外科に行かないと」
ばあちゃん、何のためらいもなく
「でも・・整形外科の先生は忙しそうだしね~」
おい、いくら温厚な私でもカチンと来る時はあるぞ。
「それは病気じゃなくて年だわ。80年も使ってれば、膝の軟骨もすり減ってくるのよ。それをいちいち病気だ病気だって騒いでたら、ばあちゃん、あんた死ぬまでずっと病人だよ」
ちょっときつかったかな・・と思いながらそう言うと、ばあちゃん平気な顔で
「だけど先生、痛くない方の足も80年使ってるけどね」
ああ言えば・・
そんな会話が続いた後、そのおばあさん、私の足の方を見て
「そんな運動が足にいいの?」
「何のこと?」
「先生のその右足みたいな、小刻みに動かす運動」
これは単なる貧乏ゆすり。
そういえば親にずっと治せって言われてたなあ・・