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「ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ」を無職が読んだ結果

 「ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ」を読んだ。格差社会、陰謀論、挙げ句の果てには境界知能だの色々と外野が思考している本作。確かに、物語を構成するエッセンスとして組み込まれているが、それだけの作品ではない。本作の魅力は全てを受け入れて前に進む力強さにある。

 詳細な考察や紹介は岡田斗司夫がYouTubeでやってたので省く。僕は社会問題に明るいわけではないので、この作品の抱えるテーマを深く捉える事はできなかった。物語道中は、可哀想だとか、バカだなとか普遍的な感想しか抱けなかったが、最後の結論には納得した部分がある。

 最後に「人生は無かったことにはならない」と渡辺は結論付けていた。騙されたり、バカにされたり、問題は何にも解決せず、最後には好きな人に告白してフラれる。この過程を経て、渡辺は人生の本質を捉えたようだった。それは清々しく、実に前向きな結論だ。無職の僕も見習わなくてはと思わされた。

 確かに、人生は無かったことにはならない。現実というのは、自分の起こしてきた行動の結果でしかないのだから当たり前の話だ。でも時として、人は受け入れ難い現実というものに出会う可能性がある。目を瞑ったとて、無かったことにならないのだから受け入れるしかない。苦しみを受け入れる強さを持たなくてはいけないのだ。

 FACTという作品は、渡辺の体験を通して人間の強さを示してくれている。渡辺の体験は人によっては立ち直れる領域なかったりするだろう。陰謀論にハマってたとか口が裂けても人に言えない。好きな人にフラれたことなんて思い出したくもないだろう。それでも受け入れるしかない。その経験は無駄にはならないから。

 物語が終えた後に、陰謀論者が読者に向けて語りかける。これは茶番だと。渡辺の人生は何も変わっていない。そして、世の中に不満を持つであろう人々に陰謀論を囁く。だがこの物語を読んだあなたなら大丈夫だろう。不満は自身の行動の結果なのだから、連想ゲームでは何の解決にもならない。

 渡辺のおかげで、僕も前に進まなくてはならないと勇気づけられた。行動しないままでは変わらない。無職には劇薬ではあったが、読後は大満足であった。今ならどこへでも就職できる気がするぞ!

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