滋賀県立美術館——時を超えるアートの旅。老舗美術館の再生と、心に響く作品たち
——びわ湖のほとりで、アートと出会う
滋賀県、琵琶湖の美しい景色が広がる「びわこ文化公園」の一角に位置する滋賀県立美術館。この美術館は、時を超えて多くの人々にアートの魅力を伝え続けてきました。1984年に「近代美術館」として開館し、2021年に新たな姿でリニューアルを果たしました。老朽化による一時閉館を乗り越え、今では時代を超えてさまざまなアートに触れることができる場所となっています。美術館館長・保坂健二朗氏の言葉にある通り、ここでは作品をただ「見る」だけでなく、作家や時代の息吹を「感じる」ことができるのです。
第1章:歴史が紡ぐ物語——「近代美術館」から「滋賀県立美術館」へ
滋賀県立美術館の物語は、1984年の開館から始まりました。多くの人々に愛され、37年間その名を馳せた「滋賀県立近代美術館」でしたが、建物の老朽化に伴い2017年に一旦その扉を閉じました。しかし、それは終わりではなく、新たな「再生」の始まりでした。4年もの歳月をかけて行われたリニューアルにより、2021年には新たな名称「滋賀県立美術館」で再スタートを切ったのです。
「『近代』という言葉を外したのは、ジャンルや時代に縛られず、自由な美術を届けたいから」と保坂館長は語っています。新たに生まれ変わった美術館では、戦後アメリカの抽象画や地元滋賀にゆかりのある作家の作品まで、多様な表現が一堂に会し、訪れる人々を魅了し続けています。
第2章:コレクションの魅力——あなたの心に触れる「一枚」がここにある
滋賀県立美術館の魅力は、収蔵作品の数々にもあります。1,786点に及ぶ収蔵品の中から、特別な一枚に出会えることは、まさにこの美術館ならではの贅沢です。
• 小倉遊亀
滋賀県出身の日本画家、小倉遊亀の作品は、柔らかな色彩と力強い筆致で描かれた女性像が特徴的です。その優しさと強さが融合した作品は、見る者に深い感動を与えます。
• マーク・ロスコ
戦後アメリカを代表する抽象画家・マーク・ロスコの作品は、巨大なキャンバスに広がる深い色の層が、観る人の心に深い印象を与えます。彼の「色の瞑想」は、観覧者に時を忘れさせる力を持っています。
• アール・ブリュット
近年収蔵を始めたアール・ブリュットの作品は、型にはまらない自由な表現が魅力です。美術教育を受けていない作家による作品たちは、そのまま心の声を映し出したような力強いメッセージを感じさせます。
第3章:リニューアルのこだわり——空間そのものがアートになる
2021年のリニューアルでは、美術館そのものがアートを体験する場所として、より洗練された空間へと進化しました。特に注目すべきは、鑑賞体験の質へのこだわりです。
• 自然光が差し込む吹き抜けのエントランス
日差しが差し込む開放的なエントランスは、訪れる人々に温かく迎え入れられたような気持ちにさせます。
• 広々とした展示室
作品との距離感を大切にし、広々とした展示スペースが作られています。作品をじっくりと観賞できるこの空間は、視覚だけでなく、心にも余裕を与えてくれるでしょう。
• びわ湖を望む休憩スペース
休憩スペースからは、びわ湖の景色を一望できます。美術館内の空間と自然が一体となり、訪れた人々に落ち着いたひとときを提供します。
第4章:未来へ——滋賀から世界へ、アートの種をまく
滋賀県立美術館の使命は、過去の名作を守るだけではありません。未来の創造を育むため、さまざまな活動が行われています。保坂館長は、「美術館は未来を創造する場所でもある」と語ります。
• 子ども向けワークショップ
アートに親しむ機会を提供し、次世代のアーティストを育てるためのワークショップが開催されています。
• 地元作家とのコラボレーション
地元の作家とのコラボレーションを通じて、滋賀ならではのアートの魅力が発信されています。
• アール・ブリュット作家の支援
アール・ブリュットの作家たちの活動を支援し、彼らの表現を広める取り組みも行われています。
おわりに——あなたの「心の一枚」を見つけに
滋賀県立美術館は、その歴史と新しい試みを通じて、訪れる人々に「心の一枚」を見つけてもらう場所として存在しています。美術館の空間は、単なる展示室ではなく、あなた自身と向き合わせてくれる特別な場所です。季節ごとの企画展や、びわ湖の風を感じながらの散策とともに、美術館を訪れ、滋賀の旅をさらに豊かなものにしてみてください。
滋賀県立美術館の魅力は、訪れるたびに新たな発見を与えてくれることでしょう。あなたも、ここで自分だけの「特別な一枚」を見つけてみてください。
心に残るアートとの出会いが、あなたを待っています。