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シンデレラの靴

折れそうなほど細く長いヒールは
脚をすらりと長く綺麗にみせてくれ、優雅で華やかで
そんなハイヒールを履いて颯爽と歩く姿に憧れる。

けれど私は生れてこの方、
ハイヒールを一度も履いたことがないちょっと残念なオンナである。

椎間板ヘルニアの腰痛持ちで、高さのある靴を履いて歩いた日は、
脚がパンパンに張り腰が痛む、そんな辛い思いをするので
憧れだけで留めておこう、いや、留めざるを得ない、
というのがその理由である。

そんな私の最愛の靴といえば、かかとの幅が広くヒールの高さが
せいぜい2.5センチほどの、いわゆるパンプスとよばれるものが1足と、
ローファー3足、ほぼ休日となった最近は、スニーカー一択。

ローファーでもスニーカーでも、靴というものは、
買ってすぐどこも痛くなくピッタリなものとの出会いはそうそうない。
お店でゆっくり試して大丈夫そうな靴を買っても、実際に履いて歩くと、
足のどこかかしらに違和感があり、履いていくうちに段々と慣れていく、
というのが常である。

”なるべく早く自分の足に合うようになる靴”に出会うことこそが、
自分にとってのシンデレラ靴との出会いとでもいえよう。


エナメルのローファー

私には今、足に馴染み、違和感なく履けるローファーが3足あるが、
びっくりなことに、そのどれもがイタリー製なのである。



エナメルのりぼんローファー

一見ピカピカと普段履きにはならなそうな感じのエナメルのローファーは、柔らかくてすぐ足に馴染んだので、同じブランド靴を購入し、交互に履く
ようにしたが、それらばかり履いてしまうので、靴底に滑り止めの補強をしてもらい、何度も修理して大切に履いている。

そんな私が3年前に購入してすぐに足に馴染みどこも痛くなかったのが、
グッチのレザーホースビットローファー。


グッチのローファー



これは、かかとを折りたたんでスリッパのように履くことができるもので、
本当に驚くほど柔らかくしなやかだ。
生きてきた中、色々履いた靴の中で一番と言っても過言ではない。

長い間仕事をしていた頃は、パンプスや色々な靴を履いて通勤していたが、
50歳を過ぎたあたりから、足の親指の爪先が硬く分厚くなってきた。
検査しても菌はなく、医師によると、親指が長く、きつい靴を履いていて
伸びる爪と靴との押し合いでそうなるのではないかとのことだった。

とは言え、ゆるい靴を履けばかかとが浮いて普通に歩くことができないし、
結局何年もの間、切っても切っても伸びてくる親指の爪の先は分厚くなり、
恥ずかしくてサンダルなど履けない状態だった。

そんな折、コロナ禍で在宅勤務が増え、靴を履いて通勤することが減り、
たまの通勤には、足にあうローファーを履く、
そんなふうに足に負担をかけなくなって、4,5年たった今、

なんと、嬉しいことに足の親指の爪が元の綺麗な爪に戻ったのだ!

自分の足にあうシンデレラ靴を選ぶこと。
それは、”ガラスの靴も履ける綺麗な足”への選択だったのだ。



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