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テーブルと聞いたらどんな映像が頭に浮かびますか?
数年前、ある実験をしてみた。
ネットで「机」「テーブル」「デスク」を画像検索。英語のサイトで「table」「desk」を画像検索。出てきた画像をプリントアウトして、30枚程のカルタを作成。
会に集まった人に、「机」と聞いて自分が思い浮かべるものに一番近いカルタを取ってくださいと言って取ってもらう。
同様に、「テーブル」「デスク」。そして、英語で「table」「desk」と言われたらどうですか?
子どもから大人まで、色々な人にやってもらったが、見事にバラバラだった。
「机」は、小中学校の机が割と人気 笑
私のイメージするテーブルは、四角くて、4本足、椅子に座って使う高さのものだけど、円形で、床に座って使うタイプのものを選んだ人もいた。
そんなふうに、同じ単語を聞いても、イメージする映像は様々。
もちろん、形容詞をたくさんつけて説明してあれば、話し手のイメージと聞き手のイメージは、近づく。
でも、小説ならいざ知らず、普通の会話でいちいち細かい描写をしたりしないので、結構違ったイメージのまま、過ぎていくんだろうな。
形があるものですら、みんなバラバラなイメージなのだから、抽象的なことば、概念的なことばなんて、本当に一人ひとりイメージはバラバラなんだと思う。
だから、ことばの意味って有るようで無いようで。。。
ものすごく不確定なものだよね。
会話になるともっと不確定になる。
例えば、Aさんと私が、ミーティングのために、10時に待ち合わせをしたのに、私が15分遅刻。「ごめんね〜、出がけにテーブルにお茶こぼしちゃって。片付けるのに、時間がかかって、電車1本乗り遅れちゃった」と言ったとする。
Aさんが我が家に来たことなければ、絶対にうちのテーブルをイメージすることは不可能だろう。お茶だって、湯呑みかコップか、ペットボトルか、水筒か、何に入っていたか、人によってどんなイメージだってできる。
それでもAさんが、テーブルの上にお茶がこぼれている絵をイメージして、それを拭いたり片付けたりすることもイメージして、「大変だったね」と優しく応えてくれたら、私は「お気に入りのテーブルクロスがびちゃびちゃになっちゃったから、とりあえず水に浸けてきたんだけど、シミになってないか心配」と、自分が気になっていることを話せたりもする。
でもAさんが、「ごめんね〜」と聞いた瞬間、ああ、これから遅刻の言い訳をするんだなと思ったら、テーブルやお茶のイメージをすることすら無いかもしれない。
そして、Aさんが「あ、そう」という感じなら、私は「遅れちゃったから、すぐ打ち合わせ始めようか、本当にごめんね」という流れで会話が進むのかな。
この場合私は、自分が遅れたことによる申し訳なさと、Aさんの素っ気無い態度で、Aさんが遅刻に対して怒っていると感じてしまう可能性もある。
そして家に帰って夫に、「今日ミーティングに遅刻したらAさん怒っちゃった」と言っても、私自身は、嘘をついている気はさらさら無いだろう。
客観的な事実は違っていても、私にとっては、そう受け取ったんだから、それが真実。
でも、Aさんにとってみたら、いや待てよ、である。Aさんと私の会話を録音して、文字起こししたとしても、Aさんは、何ひとつ怒ったような発言なんてしていないよ、勝手に怒ってるなんて思わないで!と言いたくなるはずだ。
なんなら、録画が残っていたとしても、客観的に見たら、Aさんは何ひとつ怒っていなかったのかも知れない。
たぶん、それまでの関係性や、その場の空気で、勝手に怒ってたと言われても、どうする術もない。
こんなふうに会話における真実は、ことばだけでなく、その他の要因によって変わるとても不確定なものだ。
それでも人間は、ことばで考え、ことばでコミュニケーションをとりながら生きていく。
どんなにことば以外のもので相手に伝わる事が変わってしまうとしても、ことば無しで生きていくことは、想像できないなぁ。