Day after- そして20年後

 以上が、2001年3月にヴェネツィアで体験した手術記である。帰国後は大学の同級から『ベニスに死す』と、まことしやかに死亡説が流れたものの、大阪芸術大学らしい“黒い冗談”であり、一応は皆心配をしてくれていた。気がかりだったのは、通常ならば帰国後に小学校卒業式の撮影アルバイトを控えていたこと。
「卒業式の撮影がヴェネツィアで盲腸になって行けないなんて前代未聞だな!!」
 スクールアルバム会社の先輩氏は笑っていた。

 その後の体は回復したものの、やけに胃下垂となった気がした。もともと痩せの大食い体質であった体はより酷くなったようで、食べてもすぐ腹を空かせる、ドカ食いと言われるほどの一食の量。それでお腹が信楽焼の狸のように膨れ、便通が過ぎると凹む。その繰り返しであった。
 体は歳を取るごとに食が細くなっていき、煙草もやめ、酒は2度の酷いインフルエンザに罹って下戸となる体質になったものの、至って元気なはずであった。

 しかし、これらの記事を書き上げた2021年を過ぎたころ、便秘と腹痛、下痢を繰り返すようになり、ついに2023年には激しい腹痛と下血を起こしてしまった。これはさすがに病院で検査だと、大腸検査を行ったのだが……

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