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今年は例年になく県外の山へ出かけた。その記録。
7月 富士山 富士山駅〜山頂
1日目:富士山駅〜北口本宮浅間神社〜馬返し〜五合目佐藤小屋(泊)
約16km
2日目:佐藤小屋〜富士山吉田口山頂〜剣ヶ峰〜八合目太子舘(泊)
約14km
3日目:八号目太子舘〜吉田口五合目 約8km
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富士山は20数年ぶりだった。私は学生時代を中心に10年ほど富士山吉田口で登山ガイドをしていた。その時にお世話になった山小屋のご主人が昨年亡くなられ、私は今年一人で追悼登山をすることにした。そして初めて吉田口登山道を下から登ることにした。ガイド時代には御来光ツアーのお客さんを連れて五合目と山頂を往復するだけで下から五合目までは歩いたことがなかったのだ。
下とはどこか。富士山駅前にある金鳥居からである。
岩手を早朝の新幹線で出発すれば午前中に富士山駅(昔は富士吉田駅と言った)に着くことは昨年分かった。梅雨明け前で今にも降り出しそうな雲が空を覆っていて、鳥居ごしの富士山は望めなかった。
北口本宮浅間神社を出る前に、雨が降り出した。一時はかなり本降りとなり、雨具を着て傘を差して歩いたが、7月なので気温も高く雨具の中は汗でぐっしょり濡れた。下山者とはすれ違ったが、登りは誰にも会わなかった。吉田口登山道は富士山信仰の古道で雰囲気がとてもよかった。延々と続く石畳に、よくぞここまで石を運んだものだと思った。五合目佐藤小屋に着く少し前に雨が上がった。
小屋の宿泊客は見たところ8割以上が外国人だった。晩ご飯の席で一緒になったのはオーストラリア人の男子学生と、フランスから来た一家4人だった。フランス家族の父親は20年以上前にベトナムから脱出してフランス国民となり、今はHP社で働いているという。バカンスが4週間あり日本に来た。娘さん2人のうち1人は薬学部の大学生。話を聞くと、フランスの最低賃金は日本より高いのだった。年金は25年?納めると現役時の7割貰える。日本はそんなにもらえないよ。
翌朝、3時には外国人宿泊者のほぼ全員が出発していた。
今年から吉田口では夜間登山が禁止となったので、登山道はすいていた。五合目から登ると夜間には閉まるゲートがあり、その手前で入山料を払う。下から歩いて来た私は、六合目の下で係に呼び止められ、入山料2000円と、協力金1000円を払った。協力金は任意だが、かつて富士山の観光業の一員であったので素直に払った。
六合目あたりで日の出の時間になったが曇りで御来光は拝めなかった。かつて100回以上も登った道は見慣れ過ぎているせいなのか、特に懐かしいとも思わない。ある程度記憶が薄れていないと懐かしさは感じないのかもしれない。ツアーの団体を追い越してお世話になっていた小屋に顔を出し、すぐに山頂へ向かった。
歩いている個人客の9割が外国人だったと思う。アジア系、欧米系いろいろでどれかが極端に多いという感じはなかった。海外から日本に来ているこれら全員がおそらく自分より高収入なんだろうなと思った。山頂手前で先に出ていたフランス人一家に追いついた。
夜間登山禁止の効果は大きく、山頂に着いてもガイド時代に経験したようなような混雑(東京の朝の新宿駅並み)はなかった。お鉢を回って剣ヶ峰に着くと、オーストラリア男子学生に再会したので、一緒に写真を撮った。
山頂の神社の前で晴れるのを待っていたが、むしろガスってきたので八合目の小屋へ下りて休むことにした。あとは翌日下山しただけなので割愛する。
翌日の方が次第に快晴となり、槍穂も見えた。もう一回山頂に行けばよかったかなと思った。
五合目で現役のガイド達(その中には知り合いもいたので)に会い、五合目からバスで下りた。
8月 出羽三山
1日目:湯殿山
2日目:月山
3日目:羽黒山
出羽三山を詣でる講中の登拝に参加させて頂いた。
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8月 八海山
八海山尊神社の閉山登拝に参加させて頂いた。
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9月 大峯奥駈道
1日目:吉野〜山上ヶ岳
2日目:山上ヶ岳〜弥山
3日目:弥山〜前鬼
合計約80km
聖護院の大峰奥駈修行に参加させて頂いた。
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私の登山歴は高校山岳部(ちなみに美術部だったことはない)に始まる。東京だったので普段は奥多摩を歩き、夏合宿は北や南のアルプスへ出かけた。大学時代は個人で山行に行き、富士山で登山ガイドのアルバイトをした。岩手に移住してからは、ほぼ早池峰山しか登っていない。早池峰国定公園の管理員をするようになって18年、その間夏にほかの山を登ったことはほとんどなかった。
今年あちこち行って分かったことは、小屋泊まりで荷物が軽ければ長距離も歩けるということだ。普段、距離の短い早池峰山しか歩いていないので、縦走などもう無理かと思い込んでいた。若い頃それが当たり前だと思っていたテントを背負った縦走のイメージしかなかったからだ。今、20kg以上背負っての縦走ができるかと言われれば分からないが、小屋泊まりなら全然問題ない。来年はまた別の山にも足を伸ばしてみたい。
とりあえず、長距離歩けることが分かったので、シーズン最後に早池峰山で今までやろうとも思わなかった縦走をしてみた。
11月 岳〜鶏頭山〜中岳〜早池峰山〜岳
登山口へ続く県道が冬季通行止めになってから、ぐるっと一周23kmを歩いた。
約9時間。
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縦走コースを周回する人は時々見る。自分ではやろうと思ったことがなかっただけで、やってみたらそれほど大変ではなかった。ゴールを遠くに決めればそのように体が準備するのだろう。なーんだ。来年もやろう。