24/10/01 📚『燕三条の刃物と金物』~工場の祭典に向けて~

10/3(木)~10/6(日)にかけて開催される燕三条工場の祭典。
予習として、『燕三条の刃物と金物』を拾い読みした。

本書の概要

『燕三条の刃物と金物』(2016年)
中川正七商店編で、燕三条地域で作られている「暮らしの道具」をまとめている。引き込まれる写真が沢山あり、スタイルブックのような印象。少しだが、施設やグルメの紹介も。

印象に残ったところ

①藤次郎
 藤次郎(以下、同社)は1953年創業で、何代も続く包丁メーカーが多い燕三条では若い方。自分的には燕三条の包丁メーカーといえば藤次郎、というイメージで、老舗だと思っていたため驚いた。
 同社のシグネチャーモデルといえるのは、ダマスカスシリーズ。高度の高いコバルト合金鋼を何層にも重ねている。伝統的な刃物づくりでは種類の異なる金属を熱してたたき、張り合わせる「鍛接」が不可欠であるが、生産量や価格面で限界があるため、あらかじめ多層構造になった材料を使用している。近年の技術の進歩により、鍛接を行わなくても、質の良い包丁を作ることができる。なお、同社では、鍛接も行っている。
 地域の中では新しい存在であるからこそ、伝統に縛られず、柔軟な発想ができるのかもしれない。

②玉川堂
 創業は1816年。仙台の渡り職人から鎚起銅器の技術を学んだ初代の玉川覚兵衛が、鍋、釜、やかんを手掛けたのがはじまり。明治時代になると、海外博覧会がきっかけで、鎚起銅器の美術工芸品としての価値が高まっていった。
 職人たちは、畳敷きの大広間に腰を掛け、作業をする。新人はこの畳の間に上がることができず、成形した銅器に錫(スズ)のメッキを施したり、着色後の銅器を洗浄したりして、いろはを学ぶ。1枚の銅板から本体を打ち起こす「口打出」の技術は、習得に15年かかるといわれている。
 昨年工場の祭典で伺い、生で見た時は絶妙な形、色に感動した。15年、耳を悪くしないように耳栓をしながら、ひたすら打ち込んでいる職人さんがいてこそ、あのような品ができあがる、と言うことを実感した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?